OBT 人財マガジン
2007.07.25 : VOL27 UPDATED
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ペッカリイ株式会社
人材開発室 兼 運営業務課 マネジャー
亀竹 智恵美さん飲食業界における人材育成とは(後編)
労働市場全体の有効求人倍率が1.0倍を上回り始め、慢性の人材不足を訴える企業が多く見受けられるようになってきました。中でもその傾向が強いといわれるのが飲食業界です。採用した人材の定着率を高め、戦力化するにはどうすればよいのか。後編では、2007年秋に開設する社内教育機関『ペッカリイカレッジ』の運営を担当する、人材開発室 兼 運営業務課マネジャー 亀竹智恵美さんに伺いました。
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ペッカリイ株式会社 (http://www.peccary.co.jp/)
1986年設立。『食を通じて提供する豊かなこころ』を企業理念に掲げ、フレンチ、ポルトガル料理、和食、カフェなど、多様な業態を展開。チェーン店化による多店舗展開という効率至上の風潮が強い業界にあって、店ごとに異なる業態をプロデュースする個店主義を貫く。
CHIEMI KAMETAKE
1968年生まれ。91年日本マクドナルド株式会社入社。97年九州福岡エリア店長、2000年九州エリアトレーニングインストラクター、2003年サービスインストラクター。2006年ペッカリイ株式会社人材開発マネージャーとして入社。
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人材育成の初期段階で有効なのは、"目に見える教育"。
────亀竹さんは1年前にご入社されたと伺いました。人と組織という面から見た御社の強みと弱みを、どのようにご覧になられますか。
当社は現在10店舗を展開しているのですが、店ごとに業態がすべて違います。ですから店長と料理長は、メニュー施策や業者さんの選定、値引き交渉、販売促進戦略のすべてを任されます。食器も包材もユニフォームもそう。チェーン店ならそういったことは本部が決めて店は実行するだけですが、当社では一から全部作ることができる。店に任せるというのは、すごくよいことだと思っています。
────働く方にとっては、大きなやりがいになりますね。
そうです。しかし、任せるには知識やスキルが十分ではない面もあります。例えば損益の計算であったり、部下の育成であったり。そういった力をつけるにはどうすればよいかとなると、やはり教育が必要だということなんですね。当社はまだ10店舗ほどの会社ですので、決裁が下りるスピードが速い。小回りが利く組織だということも実感しています。
────人材教育は何から着手されたのですか。
即効性のある施策として給与制度や評価制度といった人事制度を改定し、それと同時に私が所属する人材開発室を立ち上げました。人事が人材開発も兼ねるのではなく、それぞれが横並び。同じ権限を持ちますので、私は人事のマネジャーに決裁を得ることなく改革を進めることができるんです。
では人材開発室としてまず何から始めるべきかといったときに、社員が教育されていることを自覚するものが必要だと考えました。私は昨年の6月に入社したのですが、入社したその月に、当社初の研修として衛生の講習会を開きました。
────なぜ、最初のテーマに衛生を選ばれたのですか。
飲食店として一番分かりやすいことだからです。キッチンにもホールにも共通しますし、何よりも自分に置き換えやすい。時期もちょうど6月でしたし。衛生対策だけを考えれば、衛生基準のチェックリストを作成して、「ここは改善するように」とやれば即効性がありますが、それでは店舗の意識は上がりません。「衛生とは何か」「管理職として何をなすべきか」といった、根本的な考え方をレクチャーし、また近年の衛生事故のニュースを映像で見て重大さを再認識することが大事だと考えたんです。
────皆さんの反応はどうでしたか。
もう、"戸惑い"ですよ。「こんなことして何になる」とはいいませんが、そんな雰囲気も伝わってきました。この講習会には、「人材教育といつものが始まるぞ」といったことを、社員に伝えたいという狙いもあったんです。この9月には『ペッカリイカレッジ』が始まりますが、社内研修がどういうものなのかというのは受けたことがなければ分かりませんから。
業務のムダを減らし、社員が研修を受ける時間を捻出する。
────ご入社当時から、『ペッカリイカレッジ』の構想はお持ちだったのですか。
ありました。目に見える教育が必要だということと、今後出店が加速して従業員が増えることを考えると、効率的な教育が必要になります。そのためには単発の教育ではなく、体系的な集合教育が必要なんです。ただし『ペッカリイカレッジ』を立ち上げるために人材開発室があるわけではなく、人材開発の仕事の一つにカレッジがある。そこは間違えないようにしなければいけませんが。
────社内大学の開設にはどのようなステップが必要になるのでしょうか。
昨年の6月に入社しまして、『ペッカリイカレッジ』がスタートするのが今年の9月。その間、1年3カ月です。まず、入社1カ月は店舗でみっちりと現場を経験しまして、並行して衛生講習会を開き始めたところ、「人が足りないから研修に出られない」「時間がない」となった。それなら時間を作ろうと、ムダな業務を削減することを考えたんです。当社は本社も人数が少ないですから、一人がいろんな仕事を兼務します。私も人材開発だけでなく、店のPLを見たり運営にも関わります。そこで、気付いたことをどんどん改善して、とにかく店からムダな時間や作業を軽減していったんです。
店の売り上げや利益を上げるためには、店長が現状をしっかり分析して施策を立て、それをチームで共有し、遂行し、部下を教育し、ボトムアップすることが必要です。けれども、作業に追われて時間に余裕がないと、分析をカットしてしまうから店長の能力も上りません。ですから作業を軽減することで、分析や施策に注力するという考え方も定着させる。と同時に、研修をスタートできる土壌を作る。このすべてが教育なんです。
カレッジに話を戻せば、業務を削減して教育にあてる時間を作りつつ、準備を進めていきました。ホスピタリティセミナーは1時間半ですが、カレッジになると丸一日の研修になります。店舗から誰かが丸一日抜けるのって、結構大変なことなんです。店舗にしてみれば、絶対に嫌なはず(笑)。ですので、出席してよかったと思ってもらえるものにするための準備に1年かかったということですね。店舗と私との信頼関係を築くことも大切です。私に魚がおろせるわけではないし、フレンチが作れるわけでもない。「知らない人間に何が教えられるんだ」というところはあるわけです。でも、私が教えるのは料理の技ではなく、サービス業としての考え方だったり、部下の扱い方だったり、事業の計画の考え方だったり。実は、お店もそういったことに一番困っているはずなんです。そのことを分かってもらうために、かなりの時間をかけましたね。
現場を支える黒子として、現場との信頼関係を築く。
────店舗との間に壁を感じたこともありますか。
それはやはり、ありますよ。あるだろうということも予測していましたし。人材開発は即効性のないことですから、「わけの分からない部署ができて、何をしてくれるんだ」みたいなね(笑)。私も前職では店舗にいましたから、それはよく分かるんです。といっても、まずは信頼関係を築くことを心がけてきました。
────現場と信頼関係は、どのようにして築かれたのですか。
相手をまず理解し、こちらのことも理解してもらうことです。相手を信頼するかしないかのベースには、その相手が自分にとって得になる人か、ならない人かということがあると思うんです。ですから、店に行けば良いところをまず褒め、スタッフの話をよく耳を傾けるようにします。人間として当り前のことですが、そういうことにはすごく注意をしています。また、私は店舗からのたたき上げではありませんから、全ての業態を知りつくしている訳ではありませんから。この"知らない"ということはデメリットであり、メリットなんです。知らないから、「あなたはすごい」と素直に評価できますし、「教えてください」と入っていくこともできる。顧客の立場でお店を見ることもできます。
────店舗に行かれたときは、スタッフの方とどんな会話をされるんですか。
「お疲れさまです。困ってることないですか?」と。すると、「こんなことに困ってるんです」といった感じで、話してくれます。
────困っていることを聞いて、答えてくれるものですか。
いってくれるように質問していきます。一般的に「この人に言えば反応してくれるだろう」という人には、話しますでしょう。反対に、「この人にいってもどうにもならない」となるとダメですね。ですから、店舗からいわれたことは絶対にすぐにやる。それも、すごいスピードで。それを繰り返していると、「いえばすぐに対応してくれる」という信頼ができてきます。そういう小さいことの積み重ねだと思うんです。そういえるのは、私が店舗にいたときにも本部に対して同じことを感じていたからなんですが(笑)。
────店舗との壁がなくなってきたという手ごたえもお感じですか。
壁は今でもありますし、壁はあって当然だと思います。お店にとっては店長が一番ですから。お店からの要望に応えすぎてもダメなんです。店長にいい難いことを、店長を飛び越して本社にいってくるスタッフもいます。それに応えてばかりいると、私とスタッフの信頼関係は築けますが、店長とスタッフの間の溝は埋まりません。リーダーを育てることが私の本来の仕事なのに、それでは逆効果。管理職がやりにくくなるような方法を取ってはダメなんです。
私自身が前職で店舗を経験していますから、お店にとって嫌なことはしない、してほしいことをする。「自分がスタッフだったら」「店長だったら」ということはすごく想像します。すべてうまくいくとは限りませんし、正直にいって嫌な思いをお互いにしたこともあります。だからといって何もしないというものでもないですよね。何かを成功させるには、数々の失敗と少しずつの達成感はセットでついてくるものですから。
人材育成に必要なのは、社員の成長を信じる心。
────そうしてお店と信頼関係を築かれる一方で、『ペッカリイカレッジ』のご準備はどのように進めていかれたのでしょうか。
この1年間店舗を見て、いろいろな現状を把握しましたが、なすべきことはシンプルです。飲食業はピープルビジネスですから、大切なのは"人との関わり"。そのための"気持ちの持ちよう"といったことがベースになるんです。
現在も、カレッジに先駆けて『ホスピタリティセミナー』を全社員に向けて実施中です。これまでは、『ポスピタリテイ』という言葉自体を知らない社員がほとんどで、サービスも自己流。それはそれで良い部分もあるのですが、チームワークを築くには共通の認識を持って正しく理解することが大切なんです。ランチの営業を終えてから集まり、セミナー後はディナーに戻るというスケジュールですが、「あなたの体験したうれしいことは何ですか」や、「お客さまを満足させ、感動させるにはどうすればいいのでしょうか」といった、ホスピタリティに関することをディスカッションしたり、思い起こさせることができればと思っています。ホスピタリティに一番大事なことは相手の立場に立つこと。どれだけ相手に立場に立てるかということなんです。
────サービスの技術とは、また別なのですね。
まったく違いますね。人としてどうあるかということですから。
────スタッフの方々も飲食業界を志してこられた以上は、人と接する仕事への志向をお持ちだと思うのですが、ホスピタリティを実現できていない状況があるとすれば、その原因は何なのでしょうか。
日々の作業に追われて、毎日が同じことの繰り返しになっているということだと思います。他店のスタッフとの交流も少ない中、人手不足でただ忙しい。喜びの経験も味わえていませんし、人間の弱いところで"お客さまのため"よりも"自分の作業や感情"が発想の中心になってしまう。セミナーでは、そこを掘り起こすんですね(笑)。
────忙しく業務に追われている方にホスピタリティを求めるのは、酷なような気もします。
人生の3分の1は寝ている時間、3分の1は仕事をしている時間といいますが、どうせなら楽しいほうがいいですよね。大変さにもいろいろあります。先の見えない大変さもあれば、大変だけど楽しいということもある。楽な仕事はありませんから、どんな仕事でも大変。でも楽しければ、その大変さも違います。「どうだったら楽しいか?」という話をしていくと、「お客さまに喜んでもらうことです」となる。「じゃあ、そういうサービスをしよう」「そのためにはホスピタリティ向上が不可欠ですよね」ということなんです。
────ホスピタリティセミナーを実施することで、お店は変わりましたか。
いえ、まだまだ変わりません。そんなことで変わるなら、今ごろ私はもっと違う仕事をしています(笑)。教育とは一過性のものではありませんから。
────では研修の主催者側には、効果が出るまでの"我慢"が必要になりますね。
それはもう、信じるしかないです。この仕事は信じないとできないですよ。
────なぜ信じることができるのですか。
私自身が体験したからです。部下を信じる。スタッフを信じる。やり続けることを信じる。できると思う、思わせる。すると「もっと」と思うようになる。その良いスパイラルを、私が経験してきたから信じられるんです。今はまだ人材育成を始めたばかりですので、できないことがたくさんあります。でも、きっとできる。そう信じています。
────スタッフの方々の中には、育成しても退職する方もいらっしゃると思います。そうしたときに、信じる気持が揺らぐことはありませんか。
ありません。こちらに問題があればもちろん反省しなくてはいけませんが、そうでなければ、それは縁がなかったということだと思います。
────集合研修に対して、社内の抵抗はありますか。
抵抗する気持ちはきっとあるでしょうね。経費もかかりますし、何より店舗から人が一人抜けるわけですから。
けれども社長を始め、私の上司である事業推進本部長の考えも私と同じですし、人事部との足並みもそろっていますから、大きく壁にぶつかったということはないですね。トップや上司の理解がないと、うまく進みませんから。私自身も理解が得られるように種を撒くといいますか、私の考えや信じていることを話すようにしています。「スタッフが成長を体感できる風土になるということを、私は信じています」と。でも、夢物語のようなことをいっているだけではダメですので、無駄な業務を削減するといったアクションも同時に手をつけていくということなんです。
研修の内容は、参加者の名簿を見ながら細かくカスタマイズする。
────『ペッカリイカレッジ』の設立にあたっては、ほかにどのような手を打たれたのでしょうか。
外部研修と社内研修の一番の違いは、フォローアップなんですね。社外に研修に出すと、1回につき何十万という費用をかけて "以上終わり"。社内研修ですと、例えば店長研修なら、私だけでなく運営部のスーパーバイザーや社長にも参加してもらおうと思っていますので、その人たちが参加者を見るわけです。研修後に店舗を訪れたら、今度は頑張り具合を見る。そして変化していることを認めるわけです。それがフォローアップになります。"やっても認められない"という状況が、成長の一番の阻害要因。けれども社内研修なら、研修内容を踏まえたフォローができるわけで、研修の成果を反映する行動があれば、認めるでしょうし褒めるでしょうから、店長にしてみればそれはうれしいことですよね。
────外部研修でも、人事の方が付きっきりでオブザーブされて、研修後のフォローに活かすケースはあります。
それとは、フォローの度合いが違います。プログラムの内容も、自社を1年見て、「これが必要だ」「あれが必要だ」と組み立てたものを、さらにカスタマイズしています。例えば、ホスピタリティセミナーも、参加者名簿を見ながらじっと考えるんです。「今日はキッチンスタッフが多いから、キッチンにおいてのホスピタリティの事例を増やそう」、「今日はアルバイトが多いから、アルバイトスタッフも自分に置き換えやすい話をしよう」とか。外部研修では、そこまではできませんね。セミナーで話す事例も、実際に店舗であったことを話すことができます。「この間、○○のお店でこういうことがあったよね」と、良い事例、良くない事例を実際のこととして話すと、それはもう違いますよね。
────ディスカッションの内容も、現場に即したことになりますね。
しかも、ホスピタリティセミナーは1回4、5人に限定して、私もみんなの中に座って行いますから、一方的に講義を受けるというスタイルでもありません。
────あえて少人数のセミナーにされているのですか。
そうです。スタッフの考えを引き出すために、意図的にそうしています。
────するとセミナーの開催回数も増えることになりますから、手間がかかりませんか。
かかります。もう大変です(笑)。けれども、こういうことを楽にやろうと思ってはダメ。今、手間をかけることで後が楽になるんです。人材育成は心の問題。研修でただ話を聞いて、「じゃあ店に帰ってやりましょうか」という風にはならないものなんです。本当に心に響かないと、ダメなんですね。
────9月開講のペッカリイカレッジも、少人数のプログラムになるのですか。
小人数制を考えています。
────では、プログラム内容もその都度の参加者の顔ぶれを見てカスタマイズされるのでしょうか。
そうです。そこは考えます。前の日からジーッと(笑)。人は興味を持てば入ってきますから、いかに面白く、楽しくできるかが大事なんです。
────人材育成にもホスピタリティが必要なんですね。
そう。私のお客さまは研修の参加者ですから、いかに楽しく学べて、店で実践できるようにもっていくか。そのためには、頑張れば見てくれる人がいるというのも大切です。それには、私の評価よりも来店されるお客様はもちろんの事店長やお店のスタッフの評価が一番。そこは私も店長を突っつきつつ、私自身も良い変化に気付けば全社に公表しますし、そうするとその話を聞きつけた本部や他店のスタッフが見に行きますよね。そしてまた、認める、褒める。そのいい循環が必要なんですね。
人は"行きつ戻りつ"成長するもの。人材育成にゴールはない。
────亀竹さんご自身のモチベーションを支えているものは、何なのでしょうか。
私に明確な目標があることです。また、社長や上司が私を認めてくれていると感じているから、ということが大きいと思います。期待されていることに応えたい。任されていることを成し遂げたい。どの職種や職位でも、それはみんな同じではないでしょうか。
────人材育成に関して、本社主導で進める部分と店舗に任せるべき部分のバランスはどのようにお考えですか。
業務をすべてマニュアル化するつもりはありませんし、チェーン店でないため店舗運営も一概には決められない。つまり、自分のお店の立地とお客さまのニーズを考えて、アイデアを発揮できる環境があるんです。冒頭にお話しましたように、店にはメニュー戦略から業者の選定まですべて任せていますので、やろうと思えばいくらでもできます。やろうと思わないのにしなくてはならないから、「大変だ」ということになるんですね。
ですから、本社の役割はみんなのやる気に火をつけること。つまり、動機づけです。といっても、一度研修しただけでは人は生まれ変わりませんから、みんなに共通の言語を作ることも大切。例えば、ホスピタリティセミナーは全社員が受講しますから、『ホスピタリティ』という言葉を共有できる。本部の社員同士の会話でも「今の発言はホスピタリティがないんじゃないの?(笑)」などといい合ったり、徐々に浸透してきています。
────人材育成はどの程度の長期計画でお考えですか。
ずっと、ではないでしょうか。人は良くなったり悪くなったりするもの。行きつ戻りつ、ゆるやかに成長するわけで、直線的に右肩上がりに伸びるということはありませんから、人材育成はずっと継続していくものなのだと思います。
────ペッカリイカレッジのゴールは何なのでしょうか。
ゴールですか...。研修はあくまでも人材育成のサポートですので、それに頼って現場が人材を育てなくなるのは違うと思うんですね。研修すれば何とかなると思われがちなんですが、そんなわけはないですから。現場のリーダーが指導するのが一番いいんですよ。
────前回のインタビューでも、丸山様が「ペッカリイカレッジが不要になることが理想」といっておられました(前編参照)。
そう。人材育成が現場で行われていくことがゴールですね。
────ペッカリイカレッジの集合研修というスタイルも、状況によって変わっていくものなのでしょうか。
変わりますね、きっと。時代の流れによってなのか、会社の戦略によるのか。もっと有効な育成方法が見つかるかもしれませんし。
────研修制度を作った後は、研修を計画通りに実行することが人事の仕事になってしまっている企業も多くあります。
だからこそ、社内研修なんです。カスタマイズできますし、研修が不要になれば廃止することもできます。そうすれば、私は違う仕事ができるわけですし。"研修のための研修"はしないですね。
────現場の状況に柔軟に対応する。その積み重が大切なのですね。
そうです。とはいいましても人が相手ですので、うまくいかないこともあります。でも、それが当たり前。その前提で、会社としてあるべき姿を追求するということなんだと思います。
人は、やる気がある時には、どんなことしてでもしますよね。時間を惜しんでも。けれどもやる気がない時は、どうやってやらせてもダメ。ですから、研修を受けたことが何かのきっかけになってくれればいいなと思うんです。人生においては、例えば転職や引っ越し、学生ならクラス替えや席替え。環境のちょっとした変化で、流れが変わることってありますよね。今、店舗の人たちにそういうことってないんですよ。
────スタッフのみなさんも、楽しく仕事ができるようになるためのきっかけを待っているのかもしれませんね。
そう。みんな、結局は同じ事を考えているんです。けれども、見得やプライドや嫉妬といったことが、邪魔をするんです(笑)。
────煩悩があるんですね(笑)
そうそう、人間ですから(笑)。でも、どうせなら、誰だって楽しく仕事をしたいですよね。
────勉強になりました。ありがとうございました。
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