OBT 人財マガジン
2012.04.11 : VOL137 UPDATED
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新社会人に望む!
桜の開花と共に様々な人生の往来が始まる悲喜こもごもの季節である。
学窓から社会人へ、住み慣れた地域から見知らぬ土地へ、仕事の内容の変化、
異なった上司の下で等等。
そこには好む、好まざるとに関わらず大きな環境の変化に遭遇する。
我々はその変化に直面して様々なことを目の当たりにする。
これまでの考え方、価値観そして行動等、力の無さ、意識の低さ、
能力の足りなさ等。
例えば、これまでの自分のスタイルでは対応できないという経験を通して
その現実に気づく。
この経験があって、始めて考え方の幅が広がりそれが成長につながる。
この経験を成長につなげるためにはどれだけの時間、どれだけ深く
そのことに取り組んだかに大きく左右される。
「成長」そして「成長実感」は、自分が望んだ仕事に就けたという仕事との
マッチングやキャリアプラン等といった話ではなく、「今の目の前の仕事に
どれだけ主体的に取り組んできたか」という自分の主体的意思に
規定される面が大きい。
若い内の転職は思った以上のリスクがあるにもかかわらず、ひとつの仕事や
組織で長続きせずやめてしまう要因は、組織人としての基本的な心構えや
スタンスが全く確立出来ていないからである。
学校も就職斡旋を業とする企業も就職活動に関わる面接への臨み方や
適職を測定するツール等、就活関連のマニュアルの提供には励んでいるが、
最も肝心な企業組織で働くための意識や姿勢等といった本質的なことは若者に
全くといっていいほど教えていないのである。
例えば、どのような仕事が自分に向いているかということは、
実際に自分が経験して体験して初めて実感としてわかってくることであって
適職テスト等の代物でわかるはずないということは自明の理である。
また、就活関連のマニュアルでは「自分らしさを見つけて、それに合致する
企業を捜してそこで自分らしさを発揮して働こう」といったメッセージが多い。
これらは若者に対する大きなミスリード以外の何物でもない。
勿論、多くの企業の採用のHPには、「個性や挑戦、自分らしさを求む」等と
うたっているが、企業組織の中で個性や自分らしさが必要とされるといったこと
は幻想に近いといえる。
仕事に関する知識も無く成果もあげられない若者が、自分らしさ、
自分の個性等の発揮を求めても日本の多くの企業組織で本当にそれがよし
とされるだろうか。
企業のスタンダードや組織の論理に適合しえて始めて自分が活かせる
というのが実態ではないだろうか。
企業という現実、組織というものの在り方等をきちんと理解して現実と
自分らしさのギャップに気づく、そしてその現実の中でいかに主体的に
仕事に取り組むか、そしてそれにどけだけの時間を投入したかということで
成長レベルが決まる。
主体的に能動的に取り組むことをせず、自分らしさのみを追求するからこそ悩み、
何も学習出来ず短期間の間で退社してしまうのである。
実社会で成長するために重要となることは「自分と組織が折り合いを
どのようにつけるか」ということから全てが始まるということを
理解すべきであろう。