OBT 人財マガジン
2011.07.27 : VOL120 UPDATED
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組織の活力や勢いを規定する企業風土を検証すべし!
今、日本企業の多くが、閉塞感や停滞感を抱えており、それを外部環境のせいにしている。どの会社も日々いい会社になろうと必死で努力しているが、いい会社と駄目な会社の差とは一体なんだろうか。企業には、それぞれその企業のOOらしさがというものを持っている。活気に満ちた雰囲気の企業、落ちついた雰囲気を持った企業、明るい雰囲気の企業、自由な雰囲気の企業、或いは温かい、堅苦しい雰囲気等。それぞれの企業にその企業固有の雰囲気が見受けられる。仕事への取り組み姿勢、企業や職場の中での人間関係、協働の意欲、仕事に対する責任感や厳しさ、一緒に働く仲間に対する思いやり、コミュニケーションのとり方等、その企業の雰囲気を作り出す要素はさまざまなものがあるが、こうした企業の風土は、組織の中で定められた組織体制や制度・仕組み、或いはルールやマニュアル等といったものとは関係なく、現実にその企業の社員の日常の行動や考え方を支配し、組織の暗黙の規範となっているものである。現実にその企業で働いている人達が何に価値をおいて、何を大事だと思っているのか、会社や仕事に対してどういう気持ちを抱いているのか等といった組織の本音の側面が、企業風土と呼ばれているものである。例えば、権威の源泉が上位にあるという前提で考えられている組織では、指示・命令や情報の伝達は、上位者から下位者に対してなされるべきであるという基本的な仮定がある組織である。それは、上位者の方が優秀であり、物事を知っておりそして偉いという基本的な仮定がある。その一方で、組織というのは、下から遠慮なく上位者にアイディアを提案すべきであるという前提で考えられている組織では、良いアイデアは現場から生まれる、現場が一番わかっているという、権威の源泉は現場にあるというところに基本的な仮定がある。こうした雰囲気は、その企業に一歩を足を踏み入れただけでも、何となく感じられるものであるが、その企業で働く人達にとっては日々の生活の場であるために、それが与える影響は非常に大きなものがある。戦略を例にとると、戦略とその企業内の内的諸条件を比較対照した時、最も重要な内的条件は企業風土であり、戦略とこれらの適合性が最も重要な問題となる。日本でも活性化している企業は、経営理念やビジョンの意味が社員全員に浸透し、社員の考え方が内部に向くよりも外に向き、上下左右のコミュニケーションがよく、若い人の意見やアイディアが重視され、新たなものへのチャレンジやリスクへの挑戦が奨励され、且つそれらが評価される雰囲気や仕組みが出来上がっている。このような企業では、より革新的な戦略をたてやすく、また実行もされやすい。ここでは、戦略と企業文化が適合しているのである。一方、自分の仕事の範囲のみを守り、決められたことは忠実にやるが、他部門や会社全体のことには関らない。また出る杭は打たれる、失敗を許さない的な企業文化の中では、革新的な戦略を策定しても決して実現は出来ず、単なる戦略倒れになってしまう。"自由闊達で階層や社歴に関係なく、新しいものを受け入れる風土"は、新たな創造やアイディアを創出するが、"階層や従来のやり方に固執し、新たなものを受け入れない保守的文化"は停滞や守り或いは依存を生み出す。我が社の企業風土、組織の雰囲気の実態はどのようなものであるか。読者の方々にも一度しっかりと検証することをお勧めしたい。