OBT 人財マガジン
2011.02.23 : VOL110 UPDATED
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いまこそ必要となるリーダーとしての指導力
ご承知のようにここ20年間の政治の混迷は目を覆いたくなるものがある。このままの状況が続くとますます成長力が失われていくことが推察される。そのためには、政治にも企業にも強力なリーダーシップ求められよう。然しながら、昨今のリーダーを見てみると、管理に優れた人達がリーダーとして起用されている場合が多く、これは事業を成長させるという点ではかなり弊害のようにも思える。既に立ちあがっている事業をうまく管理するということでやってきた人達は、事業を立ち上げたり、育てたりという経験が無いので、事業を育み将来の収益につなげていくという経験がなく、事業に対する思い入れも少ない。管理する経験しか無い人達が経営を司ると、管理さえ徹底すれば現在のこの苦境を打開出来ると考えがちであり、事業を効率的に進める為にあらゆることを制度やシステムによって管理しようとする経営となる。そして、どこの世界にでも通用する絶対的なマネジメント理論や手法が存在し、それに基づいて事業が行われるべきと考えられるようになり、収益性に陰りや落ち込みが出ると管理が強化されるようになり社外に向けて新しいビジネスを行うことよりも、社内の仕組みやルールを厳しくしていき、それ以外は非科学的と看做されるようになる。べき論や一般論といったありきたりの話や教科書的な話が社内に非常に多くなり、各種のプロジェクトも乱立するようになる。組織内に管理志向が強くなるとマニュアルや規定が増えて行く。さまざまな届け出から日常の業務の進め方までルールで縛られていく。そして、現場では本社の司掌部門が求める様々な報告書を作成しなければならなくなる。然しながら、それは、司掌する部門が異なるだけで報告書の中身にさほどの大きな違いが無く、司掌部門によってその用途や目的が異なるだけの場合も多い。管理のための報告であり、司掌部門のリスク回避のための報告であったりする。そして、司掌部門の人たちは自分達の仕事は重要で必要性の高い仕事と思うようになり、それを徹底して行おうとするため、管理の強化が推進され、大方の人たちは、関心が外ではなく次第に内向きになっていく。それが過ぎて制度やシステムによる管理ばかりを行うようになり、顧客や市場と、そして社員同士も、組織間にも壁が生じることにより、管理のコストが増加してしまい、逆に事業の障害となっているケースが常態化している。本来、企業の本質は、言わずもがなであるが、顧客や市場に一定の価値を提供し、その価値が認知されてはじめて収益に貢献するというメカニズムであるにもかかわらず、顧客に評価されるためではなく、組織のリスク回避のためのルールや制度が重視されるようになり、本末転倒な論理が組織の中で正当性を持ち始めたりする。管理を強化しても顧客や市場から何らの評価を受けることは全く無いのだが。次第に顧客や社外の評価よりも上位者の評価を重視する人達が増えはじめ、経営は日を追うごとに弱体化していき、組織にとって大きな危機が訪れる。