OBT 人財マガジン
2011.01.26 : VOL108 UPDATED
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企業は政治の誤りを繰り返していないだろうか
GDPになんなんとする債務残高は今後一体どこまで増え続けるのだろうか
日本経済はまさにサドンデスの状態にある。
長きにわたって様々な課題の先送りを決め込んできた結末である。
これと比較して企業経営はどうだろうか。
縮む市場の中で法人税の改訂や経済自由協定の締結を政府に働きかけることもいいだろうが、とっくに破綻している国家財政からわずかながらの法人税の軽減を受けて何が一体変わると
いうのか甚だ疑問である。
そんなことよりも10年後の自社のあるべき姿を明確にし、そのために解決すべき課題に果敢に
メスを入れることの方が先決なのではないだろうか。
自社の将来を明確に描けない経営者に限って目先の策やこれまで延命措置でこの転換期を乗り越えることに躍起になり、そこには何らの将来構想等もなく、ただただ日々の執行面に
おける強化策ばかりを打ち出したがる。
この手の企業に限って、"将来のあるべき姿を語ることは、現実的ではない、それよりも目先の問題を解決すべし"というパラダイムである。
日本企業の経営者の多くが自分は能力があって社長になったと思いこみ、能力を確かめたくなる。
要は、格好をつけたくなる。
そのため、社外の有名人が集まるいろいろな会合に頻繁に顔を出すようになる。
そして、そこで得た情報が最先端の情報で時流と思いこみ。
格好良く業績を上げることを考え、それは難しくないと考え、そして社長ごっこが始まる。社長ごっこの誤りは、規模的に全く異なる大企業の制度や仕組みを取り入れ、それに従えと
主張する。
横並びで、みんながおなじような情報でおなじような決定をするようになる。
グローバルスタンダード、成果主義、株主重視経営、カンパニー制、執行役員制度等等・・・・・・。
要は、自己陶酔しているだけなのである。然しながら、業績の向上が簡単でないという現実に直面するとウチの会社は馬鹿ばかりで
どうしょうもないといった発言をし始める。
本来は社長として器量が無い人が、社長らしい行動をとろうとして真似ごとをし、現場から遊離していくのである。
真に社長らしいことをするのではなく、真似ごとや借り物なので「社長ごっこ」になってしまう。
所詮、"ごっこ"なので帰結点等知れている。そして大きな判断の誤りを犯すのである。
自社の現場にとって一体何が重要で、第一線の人たちは何を心配しているのかということを
理解できていないのにもかかわらず、一方では社長らしい振る舞いをしたい。
だから誤った判断をしてしまう。自分の頭で自社の経営の根幹は何かということを考えようとしない。
自分の頭で考えた行動をしていないので責任感も薄れるのである。
従って、他人のせい、環境のせいにしてしまう。先日の新聞紙上に、企業経営は自らが先頭に立って走る"責任先頭"が必要との記事があったが、
極めて当を得た見解かと思う。
先頭走者を風上にして自らは体力を温存するのではなく、企業のリーダーも政治家もまさに
責任先頭が求められているのである。
On the Business Training 協会 及川 昭