OBT 人財マガジン
2010.07.28 : VOL96 UPDATED
-
事業の新陳代謝の必要性!
既存事業の先にあるのは、成熟である。
需要の飽和、技術革新、或いは代替品の出現等によってどのような事業でもその成長
はやがて終わりを迎える。
日本では、立派な会社になると、事業を続けることが会社の目的になってしまう。企業
は永遠である必要があるが、個々の事業まで永遠である必要は決してない。ダ-ウィン
の法則ではないが、その時代にあってこれから先どんなものが必要とされるのかを考え
なければならない。
例えば、トヨタ自動車を例にとると、元々は自動織機の会社であったように歴史ある企
業は、何度も主力事業を入れ替えている。最近では、シャープは家電から液晶にと大
きく転換して企業としての存在価値を高めている。米国は、国として産業の新陳代謝を
している。焼畑農業のように、駄目な会社はつぶせば若い芽が育つという発想である。
GMがダメならばしょうがない。その後にシリコンバレ-から電気自動車で出てくるという
考え方である。
然しながら、日本は社会の在り方が米国とは違い、焼畑式は難しい。そのために、企業
は内部から革新を起こして、ベンチャーを興して新陳代謝を図らなければならない。
しかし、日本の大手企業では、順送りでトップが就任する。これが、成長に停滞感が伴う
最大の理由ではないだろうか。
大方の日本企業の新しいトップは、"前任者の経営の踏襲"を就任挨拶としている場合
が多い。
これでは、これまでの事業からの撤退や新規事業を始める決断も難しい。
外部環境の変化には"常に既存事業の成熟"というリスクが潜んでいる。そのリスクを
超えて"持続的な成長を遂げていくため"には、今や"企業の構造"そのものを根本から
変えていく必要がある。
そのためには、社内にある不合理を合理的なものに変革させていく経営が必要なの
である。
オセロでいえば、出来るだけ早く黒い部分を囲み、白くすることが将来の明暗を分ける
ことになるであろう。
On the Business Training 協会 及川 昭