OBT 人財マガジン
2010.03.10 : VOL87 UPDATED
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改革とは何か!
今や政治でも経済でも企業でも「改革」という2文字が登場しない時はない。
組織の衰退には驚くほど共通点がある。
組織の硬直化、組織の壁、組織の防衛、驕り、既得権、総論賛成各論反対の構造、変化への抵抗と回避顧客無視、社員軽視等の風土等。
いかなる組織も仕組みも人が作り、人が運営し、人がマネジメントするものであって、それがおかしくなって崩壊するのは人災以外の何ものでもない。
改革とは、いってみれば組織を破壊すること、組織上位者達の人事刷新である。
改革出来ない組織を見てみると上位層には、殆ど同じ考え方、同じ行動パターンを持ったが旧体制のDNAを強く持っている人たちが根強く温存されたままである。
改革しえないのは企業風土そのものにある。
そのような風土を作って来たこれまでの経営者達の発想、考え方、行動パターンそして、その種の人達が組織の上位にあって、同じような判断と行動パターンを
続けている限り何も変わらない。
改革の最大の障害は組織内部の政治力にある。
目に見えない変化を嫌い、これまでの状況を維持しようとする人達、既得権や既得権益を失いたくない負のパワー、負のエネルギーである。
改革とは、決して会議や合議から生まれるものではなく、ましてやボトムアップからはなされるはずもない。
改革は、一人のリーダーシップを発揮する指導者が信念を持って破壊するしかない。
どんな改革であっても、それによって損をする人、現在の立場を失う人達が必ず
出てくる。
それが大きければ大きいほど、その死守に懸命になっている人達を説得し、納得させることは困難である。
結局、何も変わらない。その原因はピラミッドの上層にいる変わらない人たちにある。
組織の停滞や倒産というのは、紛れもなく人災であり、トップを始めとする組織上位者の経営に対する考え方とマネジメントのあり方に起因している。
企業としてこれまで成長する中で、培ってきた成功体験の中から作り上げてきた
仕組み、常態化した発想、物事に対する判断基準、問題点に対する判断や対処の
仕方等の行動パターン等を白紙にして残すものは残す、捨てるものは捨てる、
変えるものは変えるという作業を通じて新しい仕組みと体制を組みなおさなければ
生き残れないことを意味する。
既存の体制の中にある異質さや異なる考え方、出る杭や挑戦等の行動を進化の
種として許容し、大事に育み、出る杭をさらに突出させるパワーが大勢を占めて
いるのか、逆に変化を嫌い、それらを摘み取ったり、抹殺したりしようとする現状
維持に懸命なパワーを費やす体勢が占めているか。ここに成長と衰退、進化と退化、
繁栄と滅びの分水嶺がある。
明日の明暗はこの一点にある。
どのように優れたシステムも設備も技術も商品もどんなに能力の高い人財で構成
された組織も全てはマネジメントに包括される。
そして、それを超えることは決して出来ない。
企業はそのトップの器以上でも以下でない。その器そのものということである。例えば、トップが聞く耳を持たず、社員に指示したことを黙ってこなすことだけを求める
経営とマネジメントを長年続けていたらどのようになるか。
社員は、まさにー日一日一個の卵を産むことを求められている養鶏場の鶏のようものである。
企業全体に問題意識を持ったり、時代の変化や環境の変化、自社の業績の変化に危機感を持たない社員を作り出しているのである。
停滞している風土の企業に共通しているのは、「数値目標と計画、そして社員を診ない
処方箋と手術はあっても人を活かす治療法を持っていないのである。
「悪貨は良貨を駆逐する」ことはあってもその逆はほとんどない。
「あなたは改革のために何をやっているのか」という質問をひとつ投げかければいい。
即座に明快に答えることが出来ない経営幹部や組織責任者は、今の時代、その任には
不適当である。
今の時代、破壊することのリスクに比べれば破壊しないことのリスクの方がはるかにリスクが高いのではないだろうか。