OBT 人財マガジン

2010.01.13 : VOL83 UPDATED

経営人語

  • 新しい時代に新しい考え方で対応しうる人財が我が社にどの程度存在するだろうか!

    新年、明けましておめでとうございます。

     

    年が明けて2010年。

     

    本来であれば、年が明けて新しい思いを持って将来を描くことが大事ではあるが、

    どうもすっきりとそのような気持ちになれないのは筆者だけであろうか。

     

    日本経済はすっかり成長の壁に突き当たっている。

     

    バブルが崩壊して、20年近く経って、その間に日本経済はすっかり変わってしまった。

    世界でもトップクラスの企業を抱え、技術力もあり、働く人たちの教育レベルも高い。

    それにもかかわらず、何故、停滞を続けているのだろうか。

     

    一定の成長を遂げるという前提であった経済成長率は、バブル崩壊から

    これまで実質平均0.3%の成長率でしかない。

     

    因みに60年代から90年までの実質経済成長率の平均10%。
    上がることが常識であった物価も下がるというデフレ現象も非常に長期にわたる。

     

    失業率も2%台が5%台へと上昇。

     

    また、長らく日本経済を支えてきた自動車産業の市場規模も大幅にシュリンク。
    ピーク時の90年には、780万台が今や500万台を割るという水準。
    オードバイは、82年の329万台が今や40万台。

     

    自動車やオードバイは、何も特殊なケースではなく、経済成長率の目に見える鈍化は、

    多くの企業現場を直撃している。

     

    食品からアパレル、流通から建設、自動車から家電、そして鉄鋼から金融サービスまで

    あらゆる産業、あらゆる業種に見受けられる汎用的な特徴である。

     

    そして、その間に世界の構図も様変わりしてしまった。1990年には、日米欧が世界の

    GDPの80%近くをしめていたのが、今や50%強、2010年内には逆転される見通し

    が濃厚となった世界の新しい経済秩序にどのように適応していくかが試される。

     

    日本国内を見渡せば、10%成長していた時代の経営スタイルと0.3%しか成長しない

    時代の経営スタイルは全く異なる発想、異なる戦略、異なる行動が必要となる。
    そして国際的にも先進国の地位が大きく下がり、開発途上国の世界経済に占める比重

    が大幅に増す中で、企業経営に対する考え方も大きく転換していく必要がある。

     

    「外需頼みの日本経済」「景気頼みの企業経営」という姿から脱し、

    「産業構造の転換を図り再生が必要な日本経済」、「収益構造の転換を図り新たな成長

    の構図を描く必要がある企業経営」等本質的には日本経済も日本企業も全く同じ構図

    にあるのではないだろうか。

     

    新しい年を迎えて、「営業力強化」や「コストダウン」等といったこれまでの手法では

    とても生き抜いていけない時代。

     

    改めて、我が社には、「自社の新しい成長の方程式を的確に描きメンバーにそれを

    理解納得させられるような人財」がどの程度存在しているのか、レビューしてみる必要が

    あるのではないだろうか。


    On the Business Training 協会  及川 昭