OBT 人財マガジン
2009.11.25 : VOL80 UPDATED
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経営と現場との結節点であるマネジャーの弱体化はどこから生じているのか!
昨今「日本企業のマネジャー再生」ということが叫ばれだしている。
日本企業の競争力の源であるマネジャーが弱体化しているということは、競争力に直結する大きな問題である。
経営陣と社員の結節点であるマネジャーが傷むと組織全体の活力が低下するという懸念から
日本企業のこれからの課題は、130万人のマネジャーの再生ということが重要テーマとなってきた。そのためか、我々にも「マネジャーを活性化したい」的教育の相談も非常に多い。
この背景にあるのは、マネジャーの弱体化という問題は「マネジャーが個人として乗り越えるべき問題である」という考え方であろう。
然しながら、この問題を解決するためには、「組織として対処」しなければならないことも山積している。
組織としての問題をマネジャー個人帰結させても何ら問題は解決しないというのは論を俟たないところである。
バブル崩壊後の業績回復過程でマネジャーの役割は劇的に変わり野球でいえば
打ち、守り、指揮をとりそして責任もとるというプレイングマネジャー化が進みその形が大きく変わってきた。
また、成果主義で実績をシビアに問われるようになり、且つリストラで人員も絞られたことにより業務は拡大。
従来の管理業務に加えてコンプライアンスやグローバル化の流れ等以前とは比較にならないほど
業務が増大し且つ自ら手足となって稼ぐ役目も負った。
頑張るほど責任が重くなる管理職。
そのプレッシャーに耐えかね、梯子から降りるプレイングマネジャーが増加しているとのこと。仕事柄、毎日様々な業種・業界のいろいろなマネジャーの人達と話し合う機会が非常に多い。
昨今、そこにはもうひとつ共通した特徴が見受けられる。
"我が社の問題""仕事の問題""部下の問題"等々その問題点をリストアップさせると山ほど挙げることが出来るし、且つその分析にも非常に長けている。
また、自分たちの仕事がうまく進まないのは置かれている状況、事業の特性、会社の状況
上司のマネジメント等々その要因は自分以外に起因するといったような分析も極めて巧みに出来る。
然しながら、残念ながらそこには当事者としての視点は全くなくあくまでも評論家の域を出ない。
要は、自律ではなく極めて状況依存的というのが大きな特徴である。"人生の大切な時間を費やしている仕事或いはマネジャーという業務に本当にコミットしているのか"
"自分が属している組織に本気で自我関与しているのか"非常に疑問が残るところである。この種の考え方のマネジャーに限って、「仕事は仕事、プライベートはプライベート」等と主張し
趣味のサークルや少年野球の支援或いは町内会活動等といった人と人との関係性によって心の平穏を保とうとしているのもその特徴である。
そこには、自分一人という強さを育み、自分自身を人生の主役として自律させようという発想が
全く感じられない。
勿論、人間社会には助け合いが必要である。
しかしながら、単に他人ともたれ合い依存しあうだけの関係を築いたところで病んだ心まで決して治すことは出来ない。
出来るのはせいぜい仕事での疲れをなおすという辻褄あわせというレベルであろう。
常に他人の手を借りて他人との関係性に依存しながら生きているのである。
そのためにその力が借りられなくなった時、その関係に依存できなくなった時自分を責めることなく周囲や周りを責めているために仕事における意識や能力
力もレベルアップしない。
仕事の面においても業績・成果という面においても自らが組織や周囲に与えることはせず
周りから与えられることが当たり前という考え方である。
自分の力で生きているのではなく、組織や会社から生かされているということが
自分でわかっていないために周囲からは全く信頼されない。
自分の体内時計で早起きの習慣を身につけた者は、何時でも早起きすることが出来る。
早起きできない場合でも他人にその責任を擦り付けるようなことはしない。
そのためにやるべきことをやるように自分を仕向けるようになり、やるべきことをやり遂げることが出来る。
そのような自律的な人間に対して社会は信頼をおき、その人間も成長発展するのである。
組織のあり方や制度がマネジャーを再生させるのではなく、"自身の仕事との向き合い方や
生き方等"に対する自分への問いかけ"と"仕事や組織に対する自我関与の度合い"から全てが始まるのではないだろうか。
自らのキャリアとは組織が与えてくれるものではなく、自らがつくるものであり
煎じ詰めれば自分の人生を自らの知恵と力を使って切り拓いていくということに他ならない。
まさに全ては「人生において自分は何を実現しようとしているのか」という問いかけに自分なりの
明確な解答を持つということに尽きる思う。
上述の通り、勿論、組織としての問題も大きいものがあるが、これなくしてマネジャーの再生は
覚束ないのでないだろうか。
バブル崩壊後の業績回復過程で管理職の役割は劇的に変わった。
リストラで人員を絞ったとこに業務は拡大。成果主義で実績を問われるようになり、従来の管理業務に加えて自ら手足となって稼ぐ役目も負った。
打ち、守り、指揮をとりそして責任もとる。退任した前ヤクルトの古田監督のようなプレイングマネジャー型が当たり前となった。
管理職を離れ、専門職になりたいという答えが4人に1人、役員になりたいというという割合と同水準となった。
プレッシャーに耐えかね、梯子から降りるプレイングマネジャーが増加。
頑張るほど責任が重くなる管理職。そして組織のフラット化、がっちりと権限を握る一部の中核層とあまり持たない層との二極化が進む。
肩書きは管理職であるが役割は曖昧という人達が増えていることと、中核層が息切れしそれ以外はやる気を失うという構図が今増えてきている。
経営陣と社員の結節点である管理職が傷むと組織全体の活力が低下する。
目の前の仕事に追われ、若手の育成に手が回らない管理職。
日本企業の強みであった「育てる文化」がすたれ、次代の競争力を脅かす。失われた15年を経て経営再生を果たした日本企業は管理職再生という次ぎの課題に直面している。