OBT 人財マガジン
2009.04.08 : VOL65 UPDATED
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若者の定着率の悪さは企業側の責任のみに帰すべきで問題か!!
2009年度も春の息吹と共に桜の季節が到来し、
町にはたくさんの新社会人と思われる若者達が
やや不釣り合いなリクルートスーツで通勤しているのが目立つ時期となってきた。明治安田生命保険が3月26日発表した
新社会人を対象に実施したアンケートによると、
新社会人の理想とする男性上司のトップは、日本が連覇した第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも活躍した
野球選手のイチロー、女性上司は女優の真矢みきだった。オバマ米大統領も男性6位に入った。
イチローは「実力がある」「頼もしい」とのイメージで支持を集めた。
真矢の支持理由は「頼もしい」「あねご肌」が多かった。
また、 就職先を選んだ理由は「会社の安定性」との回答が
前年の37%から44%に増えて1位。
「一生同じ会社に勤めたい」と考える人も42%から49%に増えるなど、安定志向が強まっていることがうかがえた。
小生も仕事柄、この時期、
セミナー等でいろいろな企業の若者たちに出会うことはことのほか多い。
同期の3人に1人が3年以内に退職するといわれている昨今、各企業共に定着率を高める施策を講じることに躍起となっている。
外部コンサルタントの提案を受け入れ、
人事制度や仕組みに手をつけている企業はことの他多いが、私にはどうも何かしっくりこない。
この若者の退職率の高さという問題の背景にあるのは、
確かに受け入れ側である企業側の問題もあるが、
もう一方で若者側の考え方の甘さや弱さに起因するところも非常に大きいと思われる。
ひとつは、「ここよりもっと自分に合った会社がきっとあるはずである」と
心ここにあらずで、もっといい会社探しをしている。
就職情報会社のサイトも「あるよ、あるよ、あなたが気にいる会社がこんなにあるよ」と毎回特集を組んでいる。
そして条件のいい会社を探して選ぶ。
条件とは「この会社が私に何をしてくれるか」ということである。
「自分が何をするかではなく、会社が自分に何をしてくれるか」を調べているのである。
これは、上記、明治安田生命保険の調査結果にもあるように、選択の基準が「有利か不利か」であって
「仕事が好きか嫌いか」ではないのである。
「この会社は何もしてくれない、上司は教えてくれない」「残業が多く自分の時間が持てない」等、
自分は何の貢献も出来ていないのに、何もしていないのに、
「私は自分なりに一生懸命やっているのに」と不満ばかり言っている若者が多い。そして、これが大きな錯覚であるということに全く気づいてないのである。
どんな仕事でもひとつのことをある程度極めてからしか次の人生は始まらない。
自分を良くするのも悪くするのも
結果的に自分次第なのに何も懸けてもいないから何も見いだせないのである。
イチローが何故、類稀な実力の持ち主となったのかというところには全くといっていいほど関心は行かない。
もうひとつは、「私は消極的」「私は人前ではうまく話せない」等等
自分の弱さを社会に出てからも平気で引きずって逆にその弱さを売り物にすらしているようにも思える。
そして少し厳しい状況に陥ると、すぐ体調不良となり、
医者は当然のことのように"ストレス性の病」といった診断となる。
要は、この考え方の甘さや弱さという点を"企業側が教育"して、"上司が育成して"という名のもとにサポートして
本当に改善していかなければならない代物なのかどうかということである。非常に疑問である。
このような嘆かわしい事象の根本にあるのは紛れもなく、親の問題である。
自分の子供を世の中に送り出すために必要となる教育を全くしていなのである。
実社会では、全く役に立たないような受験勉強に適応かるための手立てにはパワーやお金を費やしても、
社会の中で、組織の中で、自分の足できちんと立って
一人前の人間として自立しうる社会人としての教育を
放棄しているように思えてならない。
社会にきちん適応しうるような、外部環境に適応するために必要となる教育は、
ほとんどしていなのである。
そして、この種の親に限って何か問題が生じると、
自分の子供の欠陥はさせておいて学校が、会社がと非難するのである。
問題の本質は、社会性に欠如している子供を世の中に送り出し、
後は企業側の善意に委ねている親そのものにあるということをきちんと認識すべきである。
企業側も、上司側も昨今の単なる"べき論"等に迎合することなく、
"何が正しくて、何が間違えているのか"といった主張をどうどうと展開するところから全ては始まるように思える。