OBT 人財マガジン

2009.04.22 : VOL66 UPDATED

経営人語

  • 今だからこそ組織の一体感が大事!

    皆が熱くならない戦略では勝てない。

     

    米国の戦略論は、「戦略の内容」と「戦略の実行プロセス」が二分されていて、
    戦略の内容は主として経済学マーケベースで構築される。

     

    そしてそれを実行するときにどうするかは人の問題だから
    "組織論的プロセス"を組み立てろという考え方である。

     

    どのような内容の戦略がいいかどうかは外部の市場条件が決める。
    それを実行する人間が必要ならば外部から調達すればいいし、
    それを実行すべく組織構造を設計し、モチベーションの仕組みを考えるということである。

     

    要は、二分法なのである。
    トップダウンで戦略を作ってそれできったはったをやるのが米国といえる。

     

    然しながら、戦略の内容を考えるとき、常に組織の人たちの心理を考えなければならないと思う。
    組織のみんなが熱くならないような戦略では組織は元気にならないし、
    詰まるところ「会社をつくっていくのはだれか」という発想と結局つながっていく。

     

    かつてGEを再生したといわれているかのジャックウエルチ氏曰く。
    "二番手未満の事業は売却"
    "事業と恋に落ちるな。ダメなものはさっさと売り払えばいい。"

     

    これは、合理的には確かに理にかなった話ではあるが、
    NHKで放映され人気を博した"プロフェッショナル仕事の流儀"に登場する人達は、
    いずれも"事業に惚れ込み""事業と恋に落ちて人生を賭けた"人たちであり、
    この人達の事業への強い思いがあって陽の目を見た事業がいかに多いことか。

     

    組織を率いるリーダーは現場の力をどのようにして引き出せばいいのか。
    経営者と社員のベクトルを一致させることは本当に可能なのかどうか。
    これは、古くて然しながら、新しいテーマでもある。
    組織が目標に向かって進むためには、
    その集団がどのような目的で存在しているのかということをリーダーがはっきり示し、
    メンバーや周囲にきちん理解・納得してもらわないといけない。

     

    競争を勝ち抜くという前提のもとに経営効率を追求するということは確かに重要ではあり、
    成果主義に代表される手法は経営する側からすると極めて楽な手法ではあるものの、
    現場は疑心暗鬼に陥り、意欲が低下していく。

     

    一体感のある組織づくりを標榜するのであれば、上下の関係ではなく、
    横の関係でやっていくつまり、喜びも苦しみも共に分かち合える組織を作ることではないだろうか。

     

    このような不透明な時代だから皆が安心して働ける状況をつくり上げることが重要であり、
    まさに経営の永遠のテーマではないだろうか。

     

                                             OBT協会  及川 昭