OBT 人財マガジン
2008.12.10 : VOL58 UPDATED
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今や戦略論は単なる砂上の楼閣か?
戦略論をいくら学んでも、企業間競争を勝てるとは限らない。
勝てる戦略立案のためには、定石を知った上で、プラスアルファの能力を身につける必要があるとよくいわれる。
そのプラスアルファが何かと考えてみると
「勝てる戦略の構築に必要な頭の使い方並びにその結果として得られる視点」或いは
「仮説の発想とその検証を素早く行うスピードとユニークなモノの見方をするレンズ」と
いえるかもしれない。
いずれにしても、勝てる戦略を作るためにはアカデミックな勉強だけでなく、ある種の頭の使い方を
身につける必要があるというのし事実である。
マイケルポーターに代表されるアカデミックな戦略論は、企業の勝ちパターンを定量的に分析し、何らかのフレームを示したものである。
従って、そのフレームを定石として学ぶことは、イロハのイといえる。
これは、囲碁や将棋の初心者が定石・定跡から学び始めるのと同じである。
但し、定石や定跡を学ぶだけではプロになれるわけではない。
経営戦略にも同じ事が言える。
そもそもアカデミックな戦略論のほとんどは、企業の過去の成功例を「後講釈で定石化する」ことで成立しているので、それで将来の勝ちパターンを導き出せるわけでは決してないという認識が大事なのである。
囲碁や将棋の定石と同様、経営戦略も発見・模倣・陳腐化・イノベーションを繰り返すことで、
定石を超えた戦い方のイノベーションこそが戦略の本質なのである。
前例の無い非常に困難な状況下で "いかにしてわが社は生き残るか"ということが多くの企業に課せられたテーマである。
グローバル競争というのは、ビジネスや経営という場が、プロ同士゛が戦う全くの自由市場となることであり、
死ぬか生きるかといった生身の"殺し合いの場"になるということである。
今やどのような企業にも"買収の脅威"がある一方で、"自然と衰退して消滅してしまうというリスク"も十分秘めており 、"昔○○○という会社が存在していたなあ"という例え話に出てくる可能性は、
多くの企業が置かれている状況であろう。
戦略論という定石は、"将来自社をこのような方向に持っていく"という大きなヒジョンや強い志
そして生き残りをかけて"事業のポートフォリオの常なる革新"を図れる決断力等がないと
すべからく有効に働かないであろう。
日本企業もそろそろ"単なる机上の空論や遊びに振り回されない""本物や本質を観る目"と
"揺るがない座標軸"が必要ではないだろうか。