OBT 人財マガジン
2008.07.23 : VOL50 UPDATED
-
企業を脆弱化・衰退させる組織の病と経営トップの意識
御社では下記のようなフレーズが社内を飛び交っていませんか?
・そんなこと聞いていなかった
・そんなこと言われなくてもわかっている
・前例がない
・ウチの担当ではない
・そんなことも知らないのか
・適当にやってといて
・結論だけ言ってくれ
・忙しいから後にしてくれ
・そんなことは当たり前だろう
・上がそう言っているから
某研究会で、上記のようなフレーズが組織の中に存在する場合、"我が社もいわゆる大企業病を患っているのではないか"と"組織の脆弱化"と"組織の衰退化"等といった点に危機感を持つべきであるといった点で参加者の認識は一致した。
企業の衰退や経営危機に至る現象的な点には驚くほど共通点がある。
組織の硬直化、組織間の壁、組織の防衛、驕り、既得権の保守、総論賛成各論反対、顧客軽視等々。
企業の停滞や倒産等というのは、紛れも無く人災である。
トップを始めとする組織上位者の経営に対する考え方とマネジメントのあり方に大きく起因する。
いかなる組織も仕組みも人が作り、人が運営し、人がマネジメントするものであって、それがおかしくなって崩壊するのは人災以外の何ものでもない。
例えば、企業改革の本来の意味するところは、改革実現の条件をトップを始めとする経営陣や組織管理者が危機感を持って個々のマネジメントの中で認識することが重要であり、当然、それを行動に転嫁出来るマネジメントが求められる。
経営施策や改革のための計画に狂いが生じるその根本の要因は、人間という生き物への理解に対する無知と無策にある。
停滞している企業の共通点は、「数値目標と計画」並びに「人のやる気を喪失させる施策」はあっても「人を活かす治療法」は存在しないのである。
企業の業績とは、社員の意識と行動の有機的な結合の結果である。
もし、社員の気持ちや心が病んでいたら業績は必ずや低迷する。
原因は全ての社員の意識や心の中にある。
だから、その解決策もまた、社員胸中にあるのである。
経営幹部や組織責任者に対して"あなたは改革のために日々何をやっているか"という質問をすべきである。
この問いに即座に明快な回答が出来ない幹部や責任者は、現在のような変革期には不適な人物であるという認知が重要であろう。
この種の幹部や責任者の下では、"会社全体に問題意識を持ったり、環境変化を見据えて自社の在り様に危機感を有するような人材は一向に育たない"のである。
若い人達が育つかどうかは、幹部や責任者の日常の言動や考え方に大きく規定されるのである。
企業としてこれまで成長してくる中で、培ってきた成功体験の中から作り上げてきた仕組み、常態化した発想、物事に対する判断基準、問題点に対する判断や対処の仕方等の行動パターンを白紙にして残すものは残す、捨てるものは捨てる、変えるものは変えるという作業を通じて新しい仕組みと体制を組みなおさなければこれから先は生き残れない時代である。
"変化を嫌い、現状維持に懸命なパワーが体勢を占めている"のか"新しいやり方に挑戦する機運が大方を占めている"のか将来への明暗はこの一点にある。
ここに"成長と衰退""進化と退化""繁栄と滅び"の分岐点がある。
このような時代、将来に対しては、破壊することのリスクに比べれば破壊しないことのリスクの方がはるかに大きいといえよう。
そういう意味では、企業のトップ、組織責任者の役割と最大の使命は、この一点にあるといえる。