OBT 人財マガジン

2008.07.09 : VOL49 UPDATED

経営人語

  • 企業経営は賢くなる競争である!

    企業の低迷、衰退、消滅等の要因をどこに求めるのか?

     

    企業の衰退や滅亡については、企業経営の勉強会や今流行りの次世代経営者養成のテーマとして必ず取り上げられるものである。

     

    「経営者の経営のやり方や経営能力に問題があった」という見方に立つか「経営が順調であった間の判断や意思決定に、後々の失敗を招いてしまう何らかの要因が存在していた」という視点に立つのか。

     

    MBA的には大方は前者の見方であろうが、私は間違いなく後者である。

     

    多くの企業組織を見てきて、この点に関する私なりの見解は2つある。

    ・短期的には一見合理的と思われる経営を積み重ねていくことが、長期的には事態を悪化させている。

    ・成功によるおごり、慢心や気の緩み。

     

    長期にわたる増収増益や、拡大成長という成功は、長期的にはその中に失敗という種子を内包しているということである。

     

    成功というのは、いたく怖いことである。

    "我々の事業は我々が一番よく知っている""よそ者に何がわかるか"等といった思い上がりと"耳の痛い話をしてくれる社内外の人間を遠ざける"等といった動き。

     

    要は、企業に永続性が必要であるとすれば、永続していくために何が大事で何が大事でないかということをよくわかっていないのである。

     

    本来、人間の知恵というのは、先人たちの様々な知恵を集積して、その知恵も次第に質の高いものに昇華してきたはずである。

    経営ひとつとっても、いろいろな企業が衰退、滅亡していくという事実に接し、経営者はいろいろな知恵を身につけているはずである。

    例えば、"成功の中に""うまくいっているという状況の中に"後々の失敗につながる芽を内包しているという知恵を身につけているにもかかわらず、何故同種のことがたくさん生じるのだろうか?

    非常に疑問が残る。

     

    これは、頭ではわかっているものの"自分達だけはそうはならないという驕り"と"本質を見てない、見えていない"というところであろう。

     

    これまでの相次ぐ大企業の経営危機や経営破綻にも見受けられるように、人間というのはさほど賢くなったわけではなさそうである。

     

    経営が人為的なものである限り"成功には謙虚である必要がある"ということと"これからの企業間競争は賢くなる競争"といえる。

     

     

      On The Business Training 協会  及 昭