OBT 人財マガジン
2008.01.16 : VOL37 UPDATED
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経営の本質的な課題は身近に存在する!
今、ほとんどの企業で非正社員といわれる人達を起用して業務を
展開しているが、コスト圧縮という観点には非常に熱心であるものの、
非正社員といわれる人達の見做し方、非正社員の意欲ややる気を
喚起するためのアプローチ等といった点になるとかなり欠如している。
例えば、パート、アルバイトの人達が自社の商品を他人に薦めるようなら、
そのメーカーの人事管理、職場風土等はしっかりしていると推測できる。
パートやアルバイトをした人達が、その会社の悪口を言うようであれば、
いくら多額のコストをかけてお客様センターを設けて顧客サービスの
向上に努めていても、他方で大勢のパート、アルバイトを敵に回して
いるという実態に気づかなければ全くナンセンスといわざるをえない。
そこに「自社の本質的な問題があるんだ」ということを見出す経営センスがあるかどうかが重要ということである。
弱い立場におかれている人達は、
「いやな仕事は何でもアルバイトがやらされる」
「何時まで経っても名前ではなくパートさんと呼ばれる」
「自分たちは差別されている」等
といった差別的な発言や待遇或いは意地悪とかということに非常に敏感なのである。
どういう形であれ、「敵を作る」ということは、企業として間接的に
重大な機会損失を発生させているということである。
顧客とは、今、目の前に顧客としている人だけではなく、
さまざまな顔をして会社を取り巻いている。
その人達を潜在顧客として見る想像力があるかないかということは
ないがしろにしていい問題ではない。
このような想像力のない企業に限って、
ステークホルダーの満足度向上等と叫んでいる場合が多いが、
この手の企業に限って、理念や方針、そして多くの経営施策等が、
実態として形骸化してしまっている場合が圧倒的に多い。
社内の方針等が根付かない最大の要因は、
それを考える経営幹部やベテラン社員達の存在そのものなのである。
この種の人達に限って事業の昔話や思い出話を数多くするものの
将来に向けて自社をどのように変革させていくのか等といった話は全く聞くことが出来ない。
新入社員を迎えるたびにしゃんとしなければならないのは、
この手の経営幹部古手の社員なのである。
新入社員教育というのは、新入社員の入社ごとにむしろ経営幹部や
古手の社員が受けるべきものである。
いくら高額なコストをかけて新入社員の獲得に努めても、
企業側が人や組織そして物事の本質が理解しえてなければ、
何事も効を奏さないであろう。
輸入もののカタカナ英語の経営論の話ではなく、
身近なところに自社の経営の本質的なテーマがあるといえよう。