OBT 人財マガジン
2007.12.12 : VOL36 UPDATED
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効率化志向のマネジメントがもたらす思考の停止!
成熟期にある企業は、コストパフォーマンス等効率化を目的にメインルート
以外の全てを切り捨てる等無駄を省く単純化の作業が必ず行われる。
その代表的なものがマニュアル化であろう。そうなると融通の利かない管理となりがちでメインルートのみを通ることを
求めて「やってはいけない」「試してはいけない」「余計なことを考えては
いけない」等という制約が与えられるようになるのが常である。いわゆるマニュアル化の目的は、複雑化した作業を誰もが容易に出来る
ようにすることである。
しかし、その便利さこそ失敗を招く原因にもなっていることも見逃せない。このように完成された定式を使用すると、その問題に対する深い理解が
なくてもマニュアルを踏襲することである種の目的を達成することが出来る。
但し、その実態は部分的な理解しか出来ない状態で定式が利用されて
いるので、表面的にはうまくいっていても裏では著しい潜在能力の低下が
起こっているという問題が発生しているのである。仮にこの段階で予期せぬ事態が生じたとすると定式に対する深い理解の
無い人が誤診断を起こしたり、思考停止状態に陥って目の前の問題に
うまく対応できないということが起こる。これが衰退期に向かう流れを生み出す仕組みで、小さな失敗が放置された
結果、やがて取り返しのつかない大失敗が起こるというパターンに陥りやすい。我々が、あるものについて理解する時、ひとつの小さな要素に分解して考える。
このような人間の思考パターンに対応して、企業の組織作りも行われる。
部署という役割ごとに整理した組織構造は個々の単位を理解しやすく、
命令系統がはっきりしているのでコントロールが楽になる。
ところがそれは、上下に伝達が行われる時に限定されるもので、系統が
違う別の部署には情報が移転できないという欠点をも併せ持っている。例えば、営業部門と製造部門に明確に分けてしまうと、互いに関連が
あるのにそれが意識できないで行動してトラブルが起こるということがよくある。
我々は何かをする時、無意識にせよ、意識的にせよ、必ずある定式を
活用している。このように我々が好んで使ってきた定式が今の時代に
合わない古いものになってしまっている。ある失敗から得た教訓は、それが普遍的なものに知識化することで
始めて他の分野でも使える汎用性のあるものとして使えるということを
教えている。
自分の中にある問題解決のためのシナリオは、このように一般化する
ことであらゆる分野に応用できるシナリオに変える事が出来る。変わるというのは、古くなった定式を新しい時代に合った新しい定式に
つくり変え、それを行動の規範にするということではないであろうか。