OBT 人財マガジン
2007.08.08 : VOL28 UPDATED
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叱り方、叱られ方の難しさ
マネジメント上で最も難しいのが部下の「叱り方」であろう。
叱っても相手によって後味のいい人と悪い人がいる。
叱りやすい人と叱りにくい人がいるということである。
叱っても後悔したり、思いをめぐらしたりしなければならない相手というのは誰にとっても苦手であろう。叱りやすい人というのは、必然的に叱られる回数も多くなるが、他の人より多く叱られるからといってひがむのは間違っている。
叱りにくい人というのは、叱られ回数こそ少ないもののそれだけに親しみも薄く敬遠されているのである。誰しも叱った後、怒ったあというのは、自責、後悔が影のようについてくるものである。
いかに叱る方に正当な理由があつたとして、叱られる方に落ち度があったとしても叱った方が怒りぱっなしでさっぱりするはずはない。
ましてやそういう時は多少感情的になっているので、言う必要のないことまで言ってしまったり、昔のことやそのこととは直接関係のないことまで感情が飛び散ったりするから叱られる方は、当惑してしまってむっとするというのが人情である。
そこで相互に思いがけない溝を作ってしまうこととなる。
相手の感情の受け取り方のよさ、悪さが生涯とりかえしのつかない関係になってしまう場合も多い。叱られたり、注意されたりした場合、相手がどんなに感情的になってきたとしても、それをそのままきちんと受け止められる人は、それだけでも極めて優れた人である。
相手が怒っていることの背景にあること、その気持ち、心情等に思いをめぐらせ考えられるようであれば、相手の怒りも勢いを失い、次第に冷静となり、理性的にその問題に対応できるようになる。
このような受け止め方が出来る人間は、周囲から親しまれ信頼と安心を与えられる人である。一方、溝が出来たり、関係が悪化するケースでは、叱る側の叱り方の問題もその要因として多いが、また、叱られる側の態度に問題がある場合も多い。
言葉には出さないものの、ふてぶてしい態度をとったり、態度は神妙であったとしても心の中ではふてぶてしく、あぐらをかいていたりするというケースである。人間には直感というものがあって心中は大体ピンとくるものであって誤魔化せないのは人間の勘である。
叱る側は、その態度に反応しているというのが最も多いパターンであろう。いずれにしても、多くの人間の様々な思いや感情が行き交いながら、生き残るための経済的行為を追及しているのが組織であり、これをトレードオフとしないマネジメントが永遠テーマとなろう。
OBT協会 及川 昭