OBT 人財マガジン
2007.04.25 : VOL21 UPDATED
-
経営の生産性とは、仕事のスタンダードの設定とスタンダードの遂行のレベルに規定される!
昔から製造業では、モノ作りの基本は安全と5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)といわれてきたが、現代ではこれは製造業のみならず、それは、業種・業界を超えて多くの日本企業に該当することであろう。
生産性の低い企業に行くと、事務所内等でこの「安全と5S」が出来ていない。
事務所の中、会議室や応接室も汚れ、モノが所狭しと置かれていたりする。例えば、このような企業では、新しい仕事のやり方を導入しても成果は全くといっていいほど上がらない。
何故ならば、こうした物理的な状態と社員の考え方を放置したままではどんなに素晴らしい手法や仕組みも根付かないからである。社員個々に見るとかなり力や能力を持っているにもかかわらず、組織全体としての生産性は非常に低いという企業が多い。
仕事のやり方が決まっていない、各自が自分のやり方で仕事をやっている。
やり方がその都度バラバラという仕事の標準の無い状態では、何をどう変えたとして、どれが改悪でどれが改善かが判断のしようもない。まずは、仕事のスタンダードをきちとんと決めて皆でそれをしっかり守る。
その上で知恵を出しながら変えていく。
その積み重ねが進歩であり、質の高い仕事を可能にする。例えば、食品小売業のスタンダートに"品揃え""鮮度""クリーンネス""フレンドリーサービス"というのがあるが、クリーンネスということがきちんと出来ていなのに、他のことをやろうとしても顧客が増えるわけはない。
"基本に戻り、それを徹底させること""ちょっと"、"この程度"といったマンネリへの誘惑を排除し、基本を徹底して守り、それを長期にわたって守り続ける中で、来店顧客増や業績という結果がついてくのである。
世の中には、流行のものに直ぐ飛びつく企業が多いが、やめるのもあっという間という企業や組織が非常に多い。
当たり前のことを当たり前とせず、ずっとやり続けるという意思と根気。自分達で知恵を働かせながら、改善を続ければ、どんな小さなことからでも人の考え方は変わり、組織や会社を変革させていく際の大きな力となる。
OBT協会 及川昭