OBT 人財マガジン
2007.03.14 : VOL18 UPDATED
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経営者の再生が、企業の再生に!
戦後の大創業期から50年以上が経過し、経営者の世代交代が進む。
このような中で改めて企業経営における経営者の重要性を思いしらされる。
企業とは、常に経営者リスクを抱えているのである。経営者にもサラリーマン経営者とオーナー経営者が存在する。
ある調査では以下のような結果が出ていた。
「オーナー系の企業の方が、サラリーマン経営者の企業よりも経常利益率において優っており、オーナー系企業の方が底力がある」というものである。しかしながら、(経営体制や社風にはそれぞれ違いはあるものの)無理に拡大を続けたオーナー系企業のつまずきが相次いで表面化している。
ダイエー、ミサワホーム、パイオニア、リンナイ、パロマ、コクド・西武鉄道、日本ハム、不二家・・・・・・・・・。
底力があるにもかかわらず、これは一体何故であろうか?そのひとつの要因として、オーナー系企業の経営パターンがフィットするのは、「事業構造が単純な場合であり、国際化した企業・多角化した企業では難しい」ともいわれている。
もうひとつの要因は、一般的にオーナー系企業では、長きにわたって経営に君臨するため経営支配が強まる。権力がオーナーに集中するため、社内の情報の流れが悪くなり、且つ社員は主体性を喪失してしまうというのが多いパターンである。
経営者が会社に強い愛着を持つ一方で、全体的には閉鎖的になりがちで社外よりも社内を優先しがちになるという傾向が強い。上述の例は、
「求心力であり続けたい」という創業家の思いが突出すると組織の論理とすれ違い、負の側面が顕在化してしまい会社の致命傷にもつながりかねないという証左であろう。本来、創業者は皆、冒険心あふれる起業家であったはずである。
それが時を経て創業家と呼ばれた途端に会社の活力は喪失していく。オーナー系は一族の論理で動きがちだし、サラリーマン社長は、責任回避の姿勢に陥りやすい。
創業期の気持ちと決意を持ち続けている経営者だけが、真のリーダーとなれる。精密モーターのトップ企業である日本電産の永守氏。
個人で100億円の借り入れをしているといわれている。
買収した23社中、上場5社の個人筆頭株主になるために銀行借り入れで株を購入しているそうだ。
「自分がリスクをとらなければ社員も投資家もついてこない」。失敗すれば丸裸。
その緊張感が成長への執念を支えているのであろう。
同社では、「創業者は一代限り。世襲はしない」また、有価証券報告書のリスク情報に「永守への過度の依存」と書き添えている。企業間競争がグローバル化している現在、日本企業の再生のためには、「経営者の再生」が必要であり、リスクを厭わないオーナー感覚とリーダーシップの再構築が求められよう。
OBT協会 及川 昭