OBT 人財マガジン
2007.02.14 : VOL16 UPDATED
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組織の変革は意識の改革から
どんな組織でも時間が経つと組織としての習慣やルールが生まれ、やがてそれが制度化されていく。
それはやがて企業文化となって不動のものになる。
企業文化が一旦定着するとそれはよい意味でも悪い意味でも改革や変革を難しくする。改革や変革というのは、組織やシステムの形を変えるだけではなく、経営者や従業員の意識を変えなければ何の意味もない。
今、日本も政治、経済、そして企業としてのパラダイムも変革することが求められている。
問題は、改革という言葉ではなく、経営者と従業員のまさに意識改革なのである。改革は人為的に行なうしかない。
組織を律している価値観、即ちものさしを変えなければ何も変わらない。
そして、「変えてはならないもの」と「変えるべきもの」を区別しなければならない。
改革とは、意図した結果よりもよきしない結果で終わるケースが多い。
企業のパフォーマンスは経営者の態度とその方向性に依存する。日本でも社員を大切にしている会社はいくつもあるが、例えば衣料小売業のシマムラ、同社の藤原氏は、「企業の本質は社員であって我々は社員にとっていい会社を築くことである。まず社員を第一に考えると社員は顧客の満足を高めるために情熱を注ぐ」と語っている。
社員というのは、金や物に変えられない貴重な資産である。
経営が悪化するとリストラと称して最初に犠牲にするのは社員達である。経営者の自己責任をなおざりにしては現場からの理解が得られるはずがない。
従来のリーダーは、業績達成を理由に厳しく管理して自律性や自由な活動を最小限に止めようとしている。そうした企業では、組織に旧弊がはびこってしまい、若い人たちの新鮮な意見が上に上がらなくなってしまう。独創的なアイデアが出されても耳を傾ける余裕がない。
悪い企業文化というのは、ひとつの組織を単一的な価値観にまとめる接着剤の役割も果たしてしまう。また、我々は学校や企業等常に組織の中の一員として生きてきた。
何かの組織に属していれば、これまでは、組織が自分を守ってくれるし組織を看板にして生きる方が仕事がやりやすかった。
そのほうが情報量も多く得られるし、世間の信用を得ることも出来た。
しかし、その一方で守られているが故に失ってしまっているものも数多くあったのである。組織に生かしてもらっているということを忘れてしまっている自分、組織を離れて一人になると思った通りに力を発揮できない、糧を得られない自分等々に、気付かないことの方が多い。
然しながら、若い頃から独りで仕事し、十分な糧も得ている人たちもいる。
そして、自分が自分の力で生活するということを至極当然のこととして仕事をしており、周囲や組織に依存するという意識は全く感じられない。そうして見るとこれからの時代、組織や社会から個人が遊離して生きる時代いわゆる個の時代はすべからく自己責任の時代といえる。
自己責任の時代にふさわしい仕事の仕方、生き方をするためには、組織に依存していた文化やパラダイムの転換等の意識改革が先決であろう。そして一人ひとりの意識改革が、組織の変革につながるのである。
OBT協会 及川 昭