OBT 人財マガジン
2007.01.09 : VOL14 UPDATED
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何故、組織変革の実効があがらないのか
変革を推進するのは機械設備ではなく生身の人間であるということが忘れ去られている!
今、多くの企業がビジネスモデルの再構築に取り組んでいる。
しかし、ビジネスモデルだけ変えても"十分機能しない"、"実効があがらない"ということに気づき
組織変革に取り組んでも、うまくいっていないというケースが圧倒的に多いのも事実である。
実効があがらない企業からのご依頼で我々がその要因を調べた結果、うまくいかないケースに
共通して見受けられる「組織変革のアプローチ」には下記のようなパターンが非常に多い。コンテンツの作成には非常に注力しているものの、そのプロセスとなると全般的になおざりに
されている場合が多い。①組織を変革するためのコンテンツ、つまり変革の内容である目標や制度、
仕組みがいくらよくても、それらは必ずしも組織内に浸透はしない。
そのコンテンツを生み出す際のプロセスやそれを組織全体に展開していくプロセスが重要なのである。ゴールや目標を設定し、実践を通して達成していくプロセスには、右回りと左回りの2つがある。
組織に目標や仕組みを浸透させるプロセスがうまくいかいないのは右回りの場合である。まず、組織のビジョンやミッションが会社案内や経営計画に載っていてもメンバーは誰も本気にしない。
絵に描いた餅のように思っている。戦略的なゴールや目標が一部の人だけで決められていると、それに参画していない人達にとっては、
それが指示・命令とだけ受け取られ単なる強制されたノルマになってしまう。②そして、目標を達成するための施策や仕組み、制度も一部の人達が決めてしまい、
その実施を上位下達で周知されても、大抵の場合、『現状の実情に合わない』ということで、
現場は"今のやり方を変えない"か、"おざなりに行う"か、"放置してやり過ごす"か、
いずれにしても結果は形骸化してしまう。③これではまずいということで、実行のための研修やトレーニングを行う。
しかしながら、この研修やトレーニングは単に知識やそのやり方を"解説"し、
実践できるように"練習する"というマニュアル的なものになってしまう。
メンバーは上から言われたことなので仕方なしにやるが。
主体的な意欲を持っている訳ではないので、
「言われたこと」「指示されたこと」の範囲でしかやらない。④これでは、成果が上がらないので、今度は実践段階での管理が強化される。
この結果、何とか目標を達成したとしても管理者は疲弊し、
メンバーはやる気を失ってしまうという状態が生まれる。
そして実際に仕事をする社員の主体性ややる気が発揮されないために、
組織全体に非常に疲弊感が漂って、勢いや闊達さを喪失させてしまっている。
これは非常に多いパターンであり、組織変革のアプローチの失敗事例といえる。
こういったパターンを繰り返している組織が、いわゆる管理統制型組織である。
要は、未だヘンリーフォード時代のマネジメントパラダイムが色濃くの残っているという証左であろう。