OBT 人財マガジン
2006.12.12 : VOL13 UPDATED
-
【企業の衰退はどこから始まるか!】
情報が機能しない組織情報化の時代とは、組織の抜本的な見直しが必要となる。
大量加工生産は、反復的であるが故に、継続的改善、絶え間ない最適化が可能であり、
ヒエラルキー構造、計画、管理・統制が好まれる傾向にある。
つまり最適化の世界である。
しかし知識主導型の社会(産業)はこれとは異なる。
生産志向ではなく、ミッション志向、ヒエラルキーではなくフラットとなる。
このような組織ではミドルマネジャーの存在価値は不要となる。
小さな組織、経営トップによって直接見ることが出来る組織では雇用、被雇用という関係がなくなりきわめて対等な関係となってくる。
与えられたことを無難にこなす人ではなく、自分は何か出来るか挑戦出来る個の確立が求められる。
これまでは、情報を独占することで企業も役職者も存在価値と競争に勝ってきた。
独占とは、自分の知識領域を閉鎖することで成立していた。
自分にはマーケッテイング能力があり、企画立案は誰にも負けない。
これが差別化であった。
社内においてもその差が優劣となりヒエラルキー構造を成立させた。
然しながら、情報化社会においてはこの考え方はもはや通用せず、各人が保有している知識、情報を完全にオープンにし社内全員の共有財産とすることが重要となる。
戦後日本で発達したヨーロッパ式組織体制。
即ち責任と権限を基盤にした企業マネジメントシステムを思い切って見直す必要があるのである。
稟議や出勤務簿等といったものの見直し。規則のための規則を作るとか、管理するとか監督するとかというマネジメント概念の見直し。
何故ローマ帝国が滅亡したかということがよく議論される。
それは、国家が縦型社会と権力・権限の中で誰も全体のバランスを考えなくなってしまったからである。
これは現代の企業もまた然り。縦型企業のエゴイズムからは横型の企業の連帯感や信頼感は育たない。
例えば、いくら合理的で理にかなった正しい戦略を打ち出したとしてもそれが実行されて成果に結実しなければ全く意味が無い。
企業の現場において、経営の戦略を戦術レベルに落とし込み具体的なアクションプランに展開されている企業は非常に少ない。
これは正しい考えを正しく実行するといった組織能力に欠如している組織なのである。
新しい理念やビジョンを打ち出しても、それが実行されず結果の出ない組織は山ほどある。 こうした企業は「経営を考える発想そのものを根本的に変える必要がある」のである。
経営が期待する成果をきちんと生み出している組織は、自分達で能動的に問題を発見し解決しようとする意思を持って仕事をしている組織といえる。
反対に結果の出ない企業とは、単に言われたこと、決められたことをこなしているだけで、時にはそれさえも満足に出来なくなってしまった組織である。