OBT 人財マガジン
2006.11.14 : VOL11 UPDATED
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【企業の衰退はどこから始まるか!】
「その場しのぎの症候群的経営」が組織にもたらすもの!企業現場では様々な問題が発生するが、これに対処する時間がないという情況が常態化している。
一つの仕事をやり終える間もなく、次の問題が発生する。
真剣に問題を解決する意思はあっても、急場の応急処置で済ませれば、生産性が次第に低下していく。
これは、ボトルネックになっている問題の解決を先延ばしして、緊急に発生した問題に対応してしまうために生じる。
例えば、山積している問題を処理する優先順位を崩してしまうことにより生じる。
そして、根本的な問題はひとつも解決されることなく問題がさらに溜まっていく。 溜まった問題が多いほど情況は悪化する。
そして本来やらなければならないことよりも、日々のルーティンや雑用に追われてしまう。
また,経営も、改革、改革と声高に言ってはいるものの一旦、売上高や利益が下がったりするとそのプレッシャーから早々と問題を解決しようと、その場しのぎの対応に陥ってしまうのである。
一般的に人間は、問題の発生を知ると多くの場合、すぐ効き目ありそうな応急処置を施そうとする。実際のところ当事者は、その問題が時間的な経過と共に悪化してきており、問題は根深いことに薄々気がついている。
しかし、当面の痛みを取り除くために根本的な問題への対処については、ついつい後回しにしてしまうのである。
そして、対症療法を施すことで問題の症状を許容可能なレベルに戻そうとする。
その結果、一時的に問題の症状は改善されるが、しばらくすると当初の問題症状を再発したり、前よりも悪化する、という意図しない結果を招いてしまう事例は枚挙に暇が無いほど存在している。
このような場合、同様な対症療法を重ねて行えば、問題が次第に拡大していくことになる。 このように対象療法は、一時的には問題の症状を抑えることになるが、将来さらに大きな問題へと膨れ上がり、悪循環のプロセスに陥る危険性を持っている。
人間は将来起こるかもしれない大問題よりも今ある痛みを緩和するための対応を選ぶことの方が圧倒的に多い。
これを対症療法というが、これは短期的な結果にしか注意を払わず、長期的でさらに重大な影響を及ぼすことについては思いが至らない。
何故ならば、対症療法的な解決策の方が早く容易に実行できるからである。
さらに、対処療法を施すことによって、一時的に問題の症状が軽減または消滅するため、より根本的な解決を図ろうとする意欲が低下するのである。そして時間が経過すると問題の症状は再び現れる。そこでもう一度、対症療法を実施する。
この対症療法への依存は、「経営に、そして組織にとって根本的な解決策」への関心を低下させるという副作用を生みだすのである。
後で振り返った時、「ただただ間違えたことを一生懸命やっていたに過ぎなかった」ということがわかるのであるが。
多くの場合、長期的な視点から根本的な問題を見極める必要があるにもかかわらず、顕在化している問題の症状に対処しようとする。そして、当初の問題症状は再発し、以前よりも悪化するために、対症療法による効果は一時的なものとなってしまう。
経営資源が小さな企業で特別余裕があるわけでもないのに、「その場しのぎ症候群」に陥らない企業もある。
それは、「問題を根本的に解決する姿勢が企業全体に根付いている」。
問題に取り組む際に、「必ず根本原因を突き止め十分な解決策を打ち立てる」、「途中でやめない」というスタイルである。