OBT 人財マガジン
2006.10.09 : VOL9 UPDATED
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【企業の衰退はどこから始まるか!】
経営方針や経営施策が組織全体に浸透しないのは何故か?
未だに多くの企業組織から課題として提起される汎用的なテーマとして経営方針や経営施策が浸透しない、現場に伝わらない、現場が方針通り動かない等々で嘆いている経営者や経営幹部は多い。
われわれのこれまでの経験では、経営方針や経営施策が組織全体に浸透・定着しない理由として
【浸透の前提】
一般的には、経営トップが方針を打ち出すと担当役員を通じて、各事業部門や各組織に伝達され現場ではそれを自分の部門の課題に落とし込んで活動に展開していく。 然しながら、現実にはこれがなかなか動かない。
【浸透しない理由】
①情報の劣化
経営トップ→役員→部長→課長→係長→現場社員
複数の人間が関わるためにバイアスが働き、意図、ねらい、背景にある理由等が意図どおり伝わらない。
②組織の利害と個人の利害の不一致
その方針や施策を遂行した結果がどのように評価され処遇に反映されるかがはっきりしていない限り、末端の社員は前向きにはならない。
末端の社員は自分の評価者が誰で、どのような仕事振りが評価されるのかということにきわめて神経質である。
これがはっきりしないと面従腹背になりかねない。
経営トップから現場に方針が伝わらないのではなく、組織の利害と個人の利害が一致しないのである。
③共通の言語、共通の基盤
組織は個人の集合体であるから、内部の意識レベルはまちまちであり、そこには複雑な人間関係が存在する。
個人が考える組織の最適化と組織が考える組織の最適化とは必ずしも一致しない。
例え、どんなカリスマ性を持った経営者の命令であっても一人一人の社員がどのように行動するかは直属の上司の評価の仕方、態度・姿勢にかかっている。
トップの方針や指示は理解出来たとしても行動が伴わず総論賛成、各論反対。
意識レベルでは、誰しも方針に共鳴していたとしても、実際の自部門の仕事のやり方、直属の上司のマネジメントに大きく左右される。
上述のようにいくつかの要因が複合的に絡まりあってもたらされている課題であるにもかかわらず、単に現場の管理者や現場で働いている人達の意識や意欲の無さと決めつけている経営者がことのほか多く、何らの本質的な解決に至っていないケースが非常に多い。