OBT 人財マガジン

2006.09.27 : VOL8 UPDATED

経営人語

  • 【企業の衰退はどこから始まるか!】
    リーダーの適性を見極められる感度を持ったトップがどの程度存在するのだろうか?

    人や組織、マネジメントに関して感度のいい人、感度の悪い人がどこの企業にもいる。
    感度の本当に悪い人というのは、形式主義、権威主義、管理主義といった型を重んじるタイプである。
    こういう人は多くの場合、他人の話に聞く耳を持たない。
    こういうタイプは他の人が働きかけるだけでは変化しない。変化しないのは、その生き方が固定化され、自己完結してしまっているからである。然しながら、本人にはそのような自覚はないのである。そのような人を変化させようとするのは無駄な努力である。


    本当に人や組織に対して感度の悪い人は絶対にキーポジョンにつけてはいけない。
    企業組織で、このようなタイプの人の下では多くの人たちが機能不全に陥る。


    また、仕事が出来る人であっても、人と共感できる人であるとは限らない。
    従来の仕事が出来るという評価は、作業処理能力が高いということであった。
    企画書作成能力、説明能力もその一部にしか過ぎない。
    このような人を管理者にすると、ほとんどの場合、管理過多になって組織は活力をなくしていく。


    このような処理能力が高く専門スキルがある人は、プロフェッショナルとしての独立性の高い地位を保証して自由に仕事が出来る環境作りをしてあげるという方策が考えられる。
    これまでは、専門職としての能力が優れている人でも管理職としてしまうということが当たり前のように行われてきた。
    そこでは、その人間の特性を強化するという方向ではなく、地位を与えて能力を摘み取ってしまうという人事が行われていた。


    これでは人は生かされないし、育たない。
    結果として、仕事はできるが、人は育てられないという部長や何のスキルも持たない部長、また、専門能力を持たない単なる処遇としての部長職等、その会社を離れてしまうと外では市場価値のつかない不良資産の人員を数多く作り出して抱え込んでしまっている。


    また、おかしいことをおかしいと感じる感性だけが優れていても思いがない人だと評論は出来るが行動は出来ない。


    共感力がない人だと仲間を作って連携していくことが出来ないから結局、変革は始まらない。 おかしいと思うことに敏感に反応して、問題の指摘や評論は出来たとしても、それだけでは踏み出せない。


    変革というのは周囲からの抵抗が強いので自らが行動し、めげずに粘り強く前進しつつげるエネルギーとなる熱い思いが不可欠なのである。
    思いが通じて、お互いに共感しあえるとき、意気投合するときは、非データ系の情報が強く流れていく。


    おかしいことをおかしいと感じる感度とは、時代感覚だけでなく、人間としてのモラル感(倫理や道徳)を伴った豊かな感性、情熱や若い心、別の言葉で言えば、世の中の不条理や矛盾に対して率直におかしいと思える精神の若さやみずみずしさから生まれる強い思い、更には人の話を聞こうという姿勢や周りの人と共に共感していくことが出来る能力である。