OBT 人財マガジン

2006.07.11 : VOL3 UPDATED

経営人語

  • 組織変革が進まない3つの誤り

    4月25日のコラムで「組織変革の実効を上げるためには、自社の組織のライフステージと課題を見極め打つべき施策を構築することの重要性」に訴求したが、多くの企業の組織変革に関わって組織変革が円滑に進まない企業に共通しているのは、そのアプローチで3つの誤りをおかしていることが多い。

    ■一つ目の誤り ――― 組織の「ライフステージ」を見誤る
    自社が組織のライフサイクル上のどの段階にいるかを見誤っている。
    組織のライフステージは、必ずしも経過した年数でそのステージが決まるわけではない。
    創業後10年経っても「創業期の段階」の企業もあれば、わすか数年で「拡大期/組織化の段階」へと進んでいる企業もある。
    自社の組織のライフステージをきちんと見極めることなく間違った認識のもと対策をとると、かえって逆効果になりかねない。

    ■二つ目の誤り ――― スピード感を見誤る
    制度改革や組織の変更に代表されるハード面の改革は、綿密に検討しスピーディ-に行う必要があるが、その一方、企業体質や企業風土の変革のようなソフト面の変革は、一定の時間をかけて我慢強く強く行う必要がある。
    「手術」は迅速に行わなければ出血や体力低下を招くことになるが「薬」は飲んでも効果が出るまで時間を要する。
    一錠飲んで効き目がないと思って何錠も飲むと思わぬ副作用を招いてしまうという事例に近い。
    企業体質や企業風土は後者の類に属するものであり、改革には、手術が効果を発揮するものとじっくりと薬で治さなければならないものがあるのである。
    これを見誤って全く同じアプローチを行っているため改革前よりも事態が悪化してしまう。

    ■三つ目の誤り ――― 各施策やいろいろな打ち手が整合性がとれた形で作られていない
    組織変革に向けたいくつかの施策や対策を講じる時に、それぞれの施策や対策間の整合性をとらなければならない。
    施策や対策間に相互に矛盾を抱えているような場合、効果的に機能しないし、組織に混乱をもたらすことになる。
    従って、それぞれの施策や打ち手がきちんと整合性がとれているかどうかの検証が肝要である。


    組織変革を進め実効を上げるためには、上述の3つの誤りに対して予めきちんとした対策を講じておくべきであろう。