OBT 人財マガジン

2006.06.28 : VOL2 UPDATED

経営人語

  • 経営とは結果指標を生み出す組織の実態そのものにある!

    企業の中には一見、経営がうまくいっているようでも、組織の内情はひどい病に冒されている企業が非常に多い。

    その症状として、「従業員が仕事や会社に満足していない」「会社の将来に希望が持てない」「多額のコストをかけて採用した従業員を育てる土壌がなく」「遣り甲斐を感じさせることもできないため、意欲の高い従業員の退職が常態化している」「流行の制度は導入してはいるものの、その目的通り機能していない」「経営方針や経営施策等が末端まで浸透せず形骸化してしまっている」「現場に疲弊感が漂い活力を喪失してしまっている」「従業員に不満や愚痴が非常に多い」・・・などがある。

    そこに間違いなくその企業の『経営の実態』が象徴されているのである。

    業績は上がっている、株価が高い等といっても業績や株価というのはあくまでも結果指標、重要なことは、その結果指標がどのような組織の実態から生み出されているかということである。
    結果指標だけを見てその企業の優劣を評価してもあまり意味のあることではない。

    改革が進まない多くの企業に見受けられるのは、この結果指標には多大の関心とパワーを注いでいるものの、結果指標を生み出す組織の実態に関心が払われていないために本質的な面に手が打たれずに、次第に病理的な状況に陥っていくというパターンがあまりにも多い。
    そしてこれが企業風土化し、結果指標にも次第に停滞傾向が明確に現れるような症状を呈してくる。

    今年5月から施行された新しい会社法で義務づけられる企業改革法のひとつである「内部統制」が浸透し始めると、企業をどのような側面で見るかという企業評価の定義も次第に変わっていくであろう。

    「内部統制」という仕組みは簡単に作れるであろうが、本来の目的どおり運営しうるかどうかはまさにその企業の風土に規定されるし、組織の実態そのものといえるであろう。

    企業の本質とは、まさにその企業組織の実態そのものである。

    自組織の実態そのもののレベルを高めることに注力することが、経営のリスクを軽減し、持続的な競争力につながるという視点がこれからの経営に求められる。