OBT 人財マガジン
2006.05.17 : VOL UPDATED
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信頼が人財を創る!
経営の標語的に“従業員重視の経営”をうたっている企業は多いが、では、従業員を重視するというのはどのようなことであろうか?
会社とは、「単に従業員が生活のためだけに働く場ではなく、それを通じて「自分の存在の意味を見出すこと」や「働く仲間との絆を得る場」でもあるのではなかろうか?
このような前提で考えたとき、業績と株主利益の最大化をのみを至上命題としている企業は、従業員をコストとして扱ってしまう。
従業員を資産として扱わず、コストとして扱う企業は、従業員を監視と統制の下で管理しようと
し、従業員の扱いを悪くさせること、そしてそれが従業員にも企業そのものにも長期的には非常に大きな損失をもたらすということに気づいていない。逆に、従業員に対する信頼は、管理するという力を不要とし、仕事の生産性を向上させる。
信頼は従業員に帰属意識と安心感を与える。
心理学の研究でも、自分が信頼されていると感じている人は、そうで無い人よりも信頼に足る行動をとることが実証されている。信頼が信頼を生み、信頼が信頼を支える。信頼は重要である。信頼の高まりが、従業員の仕事に対するモチベーションを高め、仕事の生産性向上につながることは実証されているところである。
信頼というと多義的な意味になってしまうが、ひとつは、「仕事の姿勢への信頼ともうひとつは上司の公平な扱いに対する信頼」である。逆に不信は、疎外と離反をもたらすか信頼出来ない行動、さらには、破壊的な行動にすらつながる可能性があり、組織に内在するリスクとして増殖されていく。
従業員の仕事の生産性も会社への定着率も大方は「会社への満足度と上司との関係」によって決まる。
ある調査結果では、会社や上司との関係に満足している従業員の内、転職を考えている人は11%にしか過ぎなかったのに対し、会社や上司との関係に不満を持っている従業員の場合、その数字は40%に及んだ。
不満を持っている人達の半数以上が、「会社は自分のことに気遣ってくれず、キャリアのことも考えてくれない」、その一方で「満足度が高いと会社に強い忠誠心を生まれ、その忠誠心によって、有能な従業員が会社を離れない」とも思っている。信頼は優秀な従業員を会社につなぎ止め監督コストを低減させる。
信頼が「人財と業績を創る」ということではないだろうか?