OBT 人財マガジン
2012.04.25 : VOL138 UPDATED
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【新入社員にインタビュー②】
──好きなことを仕事にする為に学び続ける-
長牛 亮さん
「これから企業社会に飛び立つ新入社員は、どの様に育っていきたいと思っているのか、 そして、会社や仕事をどの様に捉えているのか」 期待に胸膨らませた大学4年生に、新社会人としての率直な考えを訊いてみました。(聞き手:海津茂史)
※インタビューは入社前、2012年3月に実施
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【プロフィール】
長牛 亮(RYO NAGAUSHI)
早稲田大学を卒業。 2012年4月より、金融会社へ入社。
────長牛さんは4月から金融機関へ入社されると伺っておりますが、志望動機についてお聞かせ頂けますか?
凄く遡って考えると、昔から両親から「お金っていうのはとても大切に扱わないといけないものなんだ」と常々言われていた事が大きかったと思います。父親はわりと苦労した人間なので、僕は幼い頃から自分にとって投資となるようなお金の使い方をしなさいと教育をされてきたんです。それと、中学の時に『世界を変えるお金の使い方』という本を読んだことがあるんですね。すごい薄っぺらい本なんですけれども。何が書いてあるかっていうと。100円で今だったらペットボトルが買えますよ。って、でもその100円があれば、アフリカの何人の子どもにワクチンが買えます、と。それが100円単位から1億円単位まで。例えば、世界中の軍事機関を4日間停止すれば、全世界の子どもたちが学校に行けますとか。それを読んだ時に、無駄にお金を使うんではなくて、もっと有効的に使う方法があるんじゃないかと。その時に、お金を使う職業って凄く大事なんだなって思い、金融に行きたいって気持ちが強くなったんです。
────中学生の頃から金融関係に進むことを考えていたんですね。
はい。僕は早稲田大学を卒業したんですけれども、何故、国際教養学部を選んだかというと。合格した際に、パンフレットが送られてくるのですが、その中で今年の卒業生はこういうところに就職しましたって、ランキングが出ていたんです。そのランキングをみると、上から金融ばっかりだったんですね。それで他の学部とか他の大学とかの選択肢があったのですが、今の学部に決めました。
────具体的に金融業で何をしたいという自分なりの目標はあるんですか?
自分のファンドを持ちたいと思っています。なぜかというと、自分で有効的に大きな資産を使って、何か大きいことをしたいという思いがあり、有効に活用して、もっと経済が全世界が良くなって欲しいと思います。例えば、この話は僕が介入出来る物でもないのですが、一部の国で油田を持っている豪族だけが私腹を肥やしている。共産主義と言われるかもしれないけれど、もっとスタンダードを上げたいと思っているんです。お金持ちが常に上にいるのは変わらないけれど、埋まらない経済格差とか、世界中で貧困層が増え続けている現状だとか、そういった問題に対して何か少しでもアプローチしたいんです。それを僕はお金という全世界共有のものを使って救いたいと思います。
────大きな夢ですね。
僕は文系なんですけれども、文系の人間がファンドを持つということは、すごく難しいことで、数学とか金融工学というのが絡んでくるんですね。可能性としては、0.01%あるかないか。自分にとってはそれくらい厳しい夢で厳しい道のりなんです。でも、努力してこれからその知識を付けていけばいいって僕は逆に思っています。そうする為には、いろんな仕事を経験したいと思っています。
────長牛くんにとって、会社とはどういうところだと思いますか?
自分の夢を実現させる為の学びの場だと思います。だから、働かさせて頂いているという考えはいつまでも捨てたくはないです。また、会社が欲しい利益をちゃんと提供しなくてはいけないと考えています。その中で自分が欲しいものも得る。そういう関係が構築できればいいなっと思っています。
────会社に貢献する為に何か努力している、もしくは努力したいことはありますか?
知識ですね。どれだけ金融の知識を付けられるかです。僕は昨年の4月に就職活動が終わってから、1年弱時間があったんですね。旅行に行ったりだとか、最後だから遊び倒すって人もたくさんいたんですけれども、それは違うなっと思っていて、ここで遊んでしまったら、活躍出来ない、埋もれてしまうなって思って、ずっと資格の勉強をしていました。それで、金融に関するある国際資格なのですが、すべてテキストもテストも全て英語でやるんですけれども、勉強して、今年の1月になんとか一次試験をパスしたんです。そういう知識を身に付け、自分は会社に貢献していきたいと思っています。
────なぜ、そんなに頑張れたんですか?
"埋もれたくない"って思いがあるからだと思います。僕には兄がいまして、3つ離れているんですけれども。中学の時、僕はすごく頭が悪くて、どうしようもない状況だったんです。中学受験をして、受かったせいで浮かれてしまい、まったく勉強をしなくなったんですよ。中高一貫教育だったのに、高校に上がれないよって担任に言われたんです。そんな時に、当時高校生だった兄は、すごく賢くて、スポーツも出来て、努力家で親にも迷惑をかけず、そういう人間だったので、周りからすごく比べられたんです。どうして自分は兄と比べられないといけないんだって凄く悔しく感じたりもしましたね。そんな時に、高校に上がれないって言われて、これはさすがに自分の人生を覆すような大きなとんでもない出来事だと思って、それが相まって、勉強するようになり、そこから何事にも負けたくないなって気持ちが出始めました。
逆に今は、兄も親も期待してくれているのですが。でも、迷惑をすごくかけてきたので、その期待を裏切りたくないなって気持ちが根底にあるんですよ。この時の経験があったからこそ、就職活動が終わってからも遊びに走るのではなく、資格勉強を続けられました。
だから、就職活動している時でも、激務なところに行きたいという気持ちはあったんですよ。定時に帰っている人と、夜中の3時に帰る人だと、効率的に考えたら別ですけど、とりあえず、こなせる仕事を3時までやっている人の方が仕事の量は多いはず。単純に考えてたとして、どんな過酷な状況でもいいから、仕事がいくらでもできるような環境にいたいと。
────ご自身で何故変われたんだと思いますか?
変わらざるを得ないぐらいの状況だと気付いたからだと思います。高校に上がれなかったら・・・と思うと、心配で夜も寝られなくなりました(笑)動悸みたいなのがして、まっ暗闇だなって思って。だって、聞いたことないじゃないですか。中高一貫で、高校に行けないって。その時初めて将来ということを考えて、このままだったらダメだって思って。でも、そこまでいかないと僕は変わらなかったと思うんです。今でもたまに、不安で寝れない時とかもありますが、それを打ち消すように、勉強しようみたいな。
────辛い・苦しい経験や失敗をきちんと振り返ることが出来ると人は成長すると思います。
今のところ僕にとっては、中学の時の経験が大きな転機になっています。 それもきっかけとなって、今では受け身なのが嫌になり、能動的に動く様になったのですが、やっぱりチャンスが目の前にあっても、能動的じゃないと受け取れない様に思います。当たり前ですけれども。やらないと・・・だから、能動的に動いてみて金融に関する国際資格の試験を受けるとか。でも、試験を受けるのに受験料が30万もかかるんです。落ちたらどうしようと思ったんですけれども、親に頭を下げて、何とか受けさせてくれって、そういうところにも、自分から自分からって姿勢で行かないとダメだと思います。それは、これからの仕事をする上でも一緒だと思っています。
────会社に入ると自分の思い描いた理想とは違う現実があるかもしれないけど、その時はどう考えますか?
僕の就職先はコースがあって、ある程度、進む道が決まっているんです。僕は、自分が興味があるところから内定をいただいていて、回る可能性がある部署はすべて僕にとって貴重な経験になると思います。もちろん、僕の考えているものと違うことはあると思いますが、そうなっても仕事を辞めるとか、会社を変えることはしないと思います。たぶん自ら環境を変えるように努力します。例えば、上司と飲みに行って自分の考えを聞いてもらうとか、人事部に訴えるとか、そういう風に動くと思います。行動してみないと分からないですし、そのくらい思いがあって決めた会社ですから。
────よくネームバリューや安定性、人事の人の雰囲気で会社を選んでしまう人もたくさんいますよね。
僕も規模や知名度が大きいような企業と迷った時もあり、揺らいだ時期はありました。ただやはり、自分の夢を叶えるために必要十分な知識・経験・スキルが身につけられる、そういう仕事をしたいって思って、今の会社を選んだんです。それにはもちろん自分は金融と言うものが好きということが根底にあります。勉強していても楽しいし、資格の勉強をしても苦じゃないんですよね。実は僕は、就職活動の時に金融機関しか受けなかったんです。おそらく僕のような学生は少ない気がします。だから、僕は変わっていると思います。本当に金融が好きでっていう人って意外と少ないと思います。金融工学をやってきた人くらいだと思いますね。僕の場合は、好きなことを仕事に出来たかって聞かれたら、迷いなく『はい』って答えます。
────最後の質問ですが、どのようなビジネスパーソンになりたいですか?
金融に関して、何を聞かれても答えられるような人間になりたいですね。そのために、僕は銀行に就職するんですけれども、金融全般に対する幅広い知識を付けることが必要になると思います。幅広い知識を付けなかったら、逆にこれから先、活躍出来ないと思うんですよ。それの知識のベーシックな部分は資格で身に着けている途中なのですが、まずは、実務でその知識をいかに使えるかという点だと思います。仕事をしていくうちに自分が今まで培ってきた知識が活きるんだって瞬間があると思うんですね。そういう瞬間を早く自分は見つけたいというか、感じたいなって思います。
────長牛さんにとって、育つ・成長していくということは、自ら描いた大きな夢に向かって、能動的に進むことなんですね。そして、大学を選ぶ、会社を選ぶにも自分のブレない軸に沿って、歩まれていることがよくわかりました。好きだからこそ、大変でも勉強を続けられる、そして、一生の職業にしたいと思うんですね。これから先、大変なこともあると思いますが、頑張ってください。本日は貴重なお話、ありがとうございました。
インタビュー後記
"あなたは好きなことを仕事にしていますか?"と聞かれたら、どれくらいの人がYESと答えるだろうか?
よく"好きなことを仕事に出来たら幸せ"というが、それが簡単なことではないくらい、みんな知っている。いくら好きなことであっても、それを生業とするには、それ相応の努力が必要となるのだ。私共も仕事柄、多くのビジネスマンと接する機会があるが、大体の人が社会人になる時に、企業のネームバリューや安定性で会社を選んでしまい、結果、本当に付きたい仕事に就いていないという人が多い。またそれ以上に自分が何をしたいのか明確になっていない人も多々いるのだ。一生の職業にしたいというものに出会うことは、難しいかもしれない。然しながら、今居る職場でも、自身を活かせる・やりがいのある仕事は必ず見つけられる。それは、自分の仕事への主体的な取り組み方で決まる。
まずは、会社に不満を言う前に、自らが仕事に対する考え方・向き合い方を変えてみるのもいいかもしれない。
新入社員の真っ直ぐな思いを受け、自身の入社時を少しだけ思い出した...。
聞き手:OBT協会 海津茂史
OBTとは・・・ 現場のマネジャーや次世代リーターに対して、自社の経営課題をテーマに具体的な解決策を導きだすプロセス(On the Business Training)を支援することにより、企業の持続的な競争力強化に向けた『人財の革新』と『組織変革』を実現している。
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