OBT 人財マガジン

2011.04.13 : VOL113 UPDATED

人が育つを考察する

  • 【若い力が変革を担う-前編】

    今回から二回、今年2月から3月にかけて「変革」をテーマに実施した
    プロジェクトをご紹介します。


    ● 導入背景

    ◇「旧態依然の企業風土を変革していきたい」というご要望からスタート
    ・ ご依頼いただいたのは「経営体制が変わった事を契機に、今迄の旧態依然とした
     企業風土を変革したい」ということでした。
     「いい商品を作れば売れる」「ブランドがあれば信頼される」といった、成長期のパラ
     ダイムを脱し、グループの存続をかけて「変革」に向けた取組みを実施していきたい、
     というご相談から始まりました。

    ◇変革を託されたのは20代~30代(若い力が変革を担う)
    ・ 「変革の担い手」として白羽の矢が立ったのは入社5年~10年の若手-中堅社員。
     「何故、この世代なのか」その理由は大きく分けて二つあります。

    ①現在の競争環境は誰も経験した事がない
    ・ 「価格下落」、「利幅の減少」、「縮小し続ける市場」-経営陣ですら経験したことの
     ない市場環境下での競争を企業は強いられています。
     企業が生き残るためには、かつての成功体験に縛られずに、柔軟性を持って新たな
     発想ができる人財を次代の経営リーダーとして早期に育成する事が重要となります。

    ②リスクをとって行動できる
    ・ 新しい事に挑戦する事はリスクを伴います。何かを変える際には、
     「余計な事はするな」等と現状維持派、古い体制との軋轢は避けられないからです。
    ・ そこで重要なのが「リスクをとって変革を推進していける人」の存在です。人の心理
     として当然ですが、残された時間(会社人生)が短ければ、どうしても保守的になり、
     リスクが少ないことを考えてしまいます。
     これから20年、30年と長い時間働く人間だからこそ、リスクをかけて、「自分の城を
     自分で守らなければならない」必然性があるのです。


    ● 本トレーニングのポイント (何故、上手くいったのか)

    結論からお伝えすると今回のトレーニングは、有難い事に高い評価を頂きました。
    そこで先に「何故、上手くいったのか」というポイントをお伝えしたいと思います。

    ①全体像を描き、課題を明確にする
    ・ 多くの企業では、教育施策を導入する際、「本当に解決すべき課題は何か」という
     本質的な議論を行わないまま 「安くていい研修」という抽象的なレベルで「研修商
     品」を選択し、結果的に失敗しています。
    ・ 最も重要なのは、「本当に解決すべき課題とその関係性を明らかにする事」、つまり、
      全体像を描く事だと私達は考えます。
      このプロセスを経なければ、「我が社の課題」とかけ離れたところで、「研修」が繰り
      返され、無駄足に終わってしまいます。
    ・ 今回の案件でも、企画担当者様と何度も何度も議論を重ね、まずは課題の明確化と
     全体像を描く事から始めました。

    【浮かび上がった課題】
     ◇ 企業風土が旧態依然。高度成長期から考え方が変わっていない。
     ◇ 経営方針、中期経営計画が浸透していない
     ◇ HDの体制が機能せず、事業会社が孤立(グループシナジーがない)
     ◇ 現場は沈滞化し、離職者もでている 等々
     → 先陣を切って変革に取り組むリーダーが不在

    ②トレーニングの目的を明確にする
    ・ 次に重要なのが「今回のトレーニングを通じて何を実現するのか」という目的をはっきり
      させることです。
      教育施策の実効が上がらない場合、大抵は「何のために」という目的が曖昧です。
    ・ また、目的を絞るためには「できること」「できないこと」の線引きが重要となります。
     『外部でできる事・Off-JTの有効性/限界』、
     『社内で取組まなければならないこと』等をはっきりさせ、
     『成果を上げるための条件』を共有する事が大切です。

    【本案件の目的】
     ◇「10年後、当グループが生き残るために」-変革を推進していくリーダーの育成
      上記実現に向けて本プロジェクトでは以下の三つを醸成する
     ① 危機意識 
     ② 変革に向けての当事者意識   
     ③ 事業会社を超えたネットワーク 

    ③どの様にトレーニングを行うか
    ・ 後はトレーニングですが、こちらは、次回後編で「参加者の反応や変化」と併せて、
      お伝えしたいと思います。


    後編も是非、ご覧ください。


    ■今回の記事に関連する情報

    ・OBTの考え方・手法 http://www.obt-a.net/about/index.html
    ・経営戦略としての次世代リーダー育成と企業風土改革(OBT協会のセミナーより)
    ・風土改革を成し遂げた企業様にインタビュー
      強い企業をつくる──21世紀型のビジネスモデルを確立する"創造的改革"
      株式会社菱食/代表取締役社長 中野勘治様