OBT 人財マガジン
2010.08.11 : VOL97 UPDATED
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人の成長に近道はない
「お金と労力をかけて研修をしたのに、水の泡と化してしまう...」日々の仕事を通じて、この様なお話を良く耳にします。今回の現場ドキュメントは着実に成果を上げている企業様の例をご紹介します。その企業様では、・会社を良い方向に変えていくこと・そのために強い組織体質をつくること、・そのためにまずは核(コア)となる人財を育成し一定の母数を確保すること、という明確な目的のもと、経営施策として、ここ数年間、「コア人財養成プロジェクト」に取り組んでいます。同社のコア人財養成では十数回をかけて学習をしていきながら、自社事業の将来方向について改革案を練り上げ、経営陣に提言していくのですが、この取り組みが成果を上げている、と感じたのは、先日行われたフォローアップの時でした。参加したのは、昨年度のコア人財養成プロジェクトの参画メンバー。プロジェクトが終わってから約1年間経っての実施でしたが、少しでも職場を変えていこう、何か新しいことを吸収しよう、という意識が参加者から伝わってきました。また、議論の観点も、随分変わっている様に感じました。例えば、「外部環境が変化する中で我々に必要なリーダーシップ」を検討するセッションでは、・会社は何処に向かおうとしているのか、我々自身はどれだけの見解を持っているのか。・会社のビジョンはどれだけ現場社員に浸透しているのか。・本気でコミットしてもらうためには何が必要か。・若手は目先のタスクに追われてしまっている。・現状に対する危機意識を持たせるためにはどうすれば良いか。等、リーダーとして取り組むべき我が社の課題にまで議論が広がりました。昨年度プロジェクトが開始した当初は、どこか評論的で、議論も日常の業務以上の領域にはなかなか発展しなかったのに、なぜ、ここまで様子が変わったのか...その背景の一つには、参加者自身の「考え方」が変わったことがあると思います。人は新しい知識やスキルを知ったから変わるのではなく、今の自分の現状を客観視し、内省をすることで考え方が変わり、行動が変わります。昨年度の十数回のプロジェクトを通じて、常に高い観点からものごとを捉える訓練をし、そして、会社を変えていく当事者として改革案を練り上げて提言した経験が、参加者のモノの見方や考え方を変えたのだと思います。そして、背景のもう一つには、同社のバックアップ体制があると思います。同社ではコア人財を養成すると共に、参加者の上司にあたる管理職のマネジメントスタイルを変えるための取り組みや、毎回輩出されるコア人財のネットワーク化にも余念がありません。いくらOff-JTで参加者が新しい考え方を身につけたとしても、職場には職場の現実があります。もし、職場が旧来型の様式なのであれば、そこから変えていかなければ、冒頭でお伝えしたように、いつの間にか参加者は元通りになってしまいます。満遍なく研修を導入するのではなく、明確な目的をもって、時間をかけて核となる人財をピカピカに磨き上げる、そして現場で放置せず、受け皿としての職場の環境も変えていく。こうすれば絶対に会社が変わる、という秘策や奇策はありませんが、人や組織が変わるためにはいくつかの論理はあると思います。この論理と自社の現実を行き来しながら、成果を上げるためのやり方を模索し、地道に積み重ねるプロセスが、遠回りのようで実は一番近道なのではないかと思います。
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歌は歌詞を理解していないと上手く歌えない - ゆで蛙になる前に -かつての成功は未来永劫続かない-