OBT 人財マガジン

2010.01.13 : VOL83 UPDATED

人が育つを考察する

  • 新たな策を考える前に ‐既成概念を疑う-

    2010年、最初の現場ドキュメントは次世代ビジネスリーダー養成の

    ワンシーンから、お届けします。

     

    トレーニングは全12回、参加者は中堅社員。

     

    次世代を担うビジネスリーダーとして必要な考え方、志を身につけながら、自社の

    グランドデザイン(将来方向性)を描き、経営陣に最終提言するステップで進めます。

     

    昨年末からスタートし、1月某日、第二回目が実施されました。

     

    同社は製造業。事業領域が、比較的"川上"に位置しており、近年では

    「顧客へのソリューション」を経営方針としていたものの、ここ数年はコストダウンを

    目的にコア事業が海外に移管されつつあり、主力の収益源が揺るがされていた

    背景が在りました。

     

    第二回目で、「自社事業の市場と顧客」について検討するディスカッションを実施。
    (事業における環境変化を、市場と顧客という観点から検討)
    全体討議の中では、次の様な議論が行われました。

     

    【参加者から多く上がった意見】
    ・このまま海外への移管が進行していけば、自社のコア技術がますます流出し、
    危険ではないか

     

    【トレーナーを交えて議論をしていく中で上がった声】
    ⇔オフショアリングは"潮流"。この大局はヘッジできない(抗えない)。
    海外における協力者は、コストセンターを超えてコンペディターになりつつあるのと

    同時に、広い意味では(その国が)市場にもなりつつある。
    我々は、この前提に立てているかどうか。

     

    ⇔我が社の経営方針では「ソリューション」を掲げているが、我々は何を持ってして、

    「ソリューション」としているのか。
     ソリューションできるほど顧客を知り尽くしているだろうか。
    ...果たして、他と比較して、どれほど価値があるものなのだろうか。

    ⇔【最終的に...】技術流出云々という事象ではなく、大局から見て、自社の置かれ

    ている現状(前提)を捉えなおすこと。
    その上で、形骸化している「ソリューション」という真の意味、つまり我が社の提供すべき

    付加価値をもう一度あらため、どの領域に資源を集中させていくかを明確にすることが

    重要なのではないか

     

     ... ... ... ...
    年が明けても、ますます、先行きが見えない市況。
     
     しかし、最新のビジネスフレームワークや先進企業の事例を知ったからといって、
     秘策が急に出てくるわけではありせん。

     

    日々感じている現実の課題を題材として、参加者-トレーナーとの議論を繰り返す

    中で、過去の延長線上での考え方を「本当にこれでいいのか...」と客観的に見つめ

    なおし、新たな観点を身につけながら、自社にとって最適な解決策を導いていきます。

     

    思い込みを捨てれば、不可能も可能となる -

     

    今回の「この人に聞く」にご登場いただいた、
    ファイテン株式会社 平田 好宏社長はこの様なお話をされていました。

    知識や経験も大事ですが、固執しすぎればそれは時として"弊害"となり、新しい策を

    見いだせなくなってしまいます。

     

    新たな策を思考する前に、まずは既成概念を疑う事が重要なのだと感じました。