OBT 人財マガジン

2008.12.11 : VOL58 UPDATED

人が育つを考察する

  • 人財の価値とは‐コア人財育成のディスカッションから

    「慣れでできていることと、能力とをかんちがいしている」

    この様な課題は多くの企業で見受けられます。

     

    今回の現場ドキュメントは、中堅社員を対象としたコア人財育成教育で
    交わされたディスカッションの一部をお送りします。

     

    【プロとは何か】
    参加者から出てくる、「我々は●●のプロとして...」という発言。

    何気なく使いがちな「プロ」という言葉。
    プロとは本来、どのような事を意味するのでしょうか。

     

    教育中トレーナーから「あなたたちはプロですか?」
    という問いがあった際に、参加者からは
    「顧客よりも知識があること」「専門知識で適切な対応をすること」
    を主な理由として「プロである」とする意見が多く上がりました。

    しかし、売り手よりも買い手の方に豊富な情報ソースがある今、
    上記の様な定義は本当に成立するのでしょうか。

     

    ブリタニカVSウィキペディア。

    知識を例に取ってみても、少数の専門家の深い専門知よりも、
    多数の素人の集合知の方に価値が推移しています

    自社、自業界だけの専門性に特化していても、
    それだけでは相対的に価値は低下していきます。

    人財も同様。


    ある条件下でパフォーマンスを発揮していても、状況が変わった際に
    同等のパフォーマンスを出せる、「再現性」があるかどうか。

    そこで、一つの観点ではありますが、「プロの定義」として、
    次のような内容にとても共感できました。

     

     

    ■自分の論理と組織の論理が矛盾したとき、躊躇なく自分の論理を選択できる人
    ■組織から出ても市場価値を落とさずに外部から引き合いが出る人

     

    「自分は客観的にみて本当に価値があるのか」
    「自分は本当にプロといえるのか」

     トレーナーを交えた全体ディスカッションを通じて、
     参加者は「自己を俯瞰すること」の重要性に気づきを得ていきます。

     「忙しいので、将来のありたい姿を考えていない」
     これではただ、問題を先延ばししているだけ。

     十年後の自分の価値は、日々、自分が何を基準として行動していくか、
     仕事をしていくのかによる‐

     この事を自覚させられる一幕でした。