OBT 人財マガジン

2008.05.14 : VOL45 UPDATED

人が育つを考察する

  • 新入社員研修 ②

    先月、OBT協会で担当させていただいた新入社員研修を拝見させていただきました。
    私自身、自分が受けた新入社員研修の内容も思い出せないくらいですが、この年齢で
    見ていても、新入社員研修はとても刺激になり、気づかされることが多くあります。
     
    新入社員研修で、マナーやPDCAなどを学んだ後、「来客されたお客様に商品パンフ
    レットを準備する」などの日常の業務の中で発生する仕事を設定し、即興で新入社員に
    どう対応するか実演(ロールプレイ)をしてもらいました。
    "今、ここで自分は何をすべきか""どうするのがベストか"を自分で考え、みんなの前で
    対応します。
     
    さっき学んだことが一つも行動で出てこない、頭の中が真っ白になり、何をどうしていい
    のかアタフタしてしまっている新入社員。対応が終わり、自分の席に着いてから
    「ああ、こうすればよかった」と悔やんでいる新入社員。
     
    このセッションを振り返り「理解していたつもりだったけど、体が動かなかった」
    「他の人がやっている時には客観的にああすればいいのにと気づくが、自分の番に
    なったら何をどうしたらいいのかわからなかった」など自分自身、お互いをレビューして
    いました。
     
    「今、できなくて当たり前。わかった気になっているのが一番まずい。
    大切なのは振り返ること。できなかったことを振り返ることが大事。
    "私なりに一生懸命やっています"これではいけない・・・」トレーナーのこの言葉は、
    きっと私自身に言っているなと思いました。
     
    二日目の朝の「昨日の振り返り」にて

     ・ 昨日、全くできなかった。家に帰ってから、できなかったことを自分で何度も
      練習しました。
     ・ 最初は「自分が当たらなくてよかった」と思っていたが、失敗したことで
      自分の印象にも残るので、やった方がよかったと思い直した。
     ・ 今まで、振り返る習慣がなかったが、振り返ることで質があがるとわかった。

    等を発表していました。
     
    気づくこと、できない自分を認めること、悔しがること、他から学ぶこと、努力すること。
    この当たり前のことに真剣に取り組む新入社員たちの姿勢から、"初心に帰る"という
    大事な経験をさせてもらいました。
     
    連休が明け、多くの新入社員がそれぞれの仕事の場に配属されていきました。
     
    今年の新入社員の多くは小学校入学時代に週五日制が始まった「ゆとり教育世代」。
    順位がつかない徒競走や、皆で手をつないで一緒にゴール・・・そんな運動会も
    この頃からではないでしょうか。
     
    人事の方に最近の新入社員の傾向をお聞きすると、ゆとり教育や少子化の影響が
    あってか「競争心がない」「貪欲さがない」「受身的」「指示待ち」「理屈家」「安定志向」
    「思いがないのに自己実現をいう」などが多く出てまいります。
    私自身、自分のことは棚に上げ、最近の若手は確かにそうだと頷き、また同世代と
    飲むとつい「最近の若い人は・・・」と愚痴の一つもこぼしてしまいます。
     
    新入社員自身に対するアンケートでも自己評価について、「安定志向が強い」という
    回答が7割強。「指示がないと仕事がしにくい」5割。「順位をつけられることや競争が
    嫌い」4割強という結果が出ています(日本経済新聞社)。
     
    どれも頷ける傾向ですが、新入社員、若手を見る時にこういったフィルターをかけて
    しまっていないか、一人ひとりをちゃんと見ているだろうかと自分に問いかけることも、
    人財を育成する立場にある管理職、先輩社員に重要であると思います。