OBT 人財マガジン
2008.01.16 : VOL37 UPDATED
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新卒採用の現状
主要企業の大卒内定者数(08年4月入社予定)は4年連続で増加。
そして、新卒採用競争の激化で内定者数が計画に達していない企業が
全体の1/3強を占めたそうです。新卒採用の過熱ぶりが現場実感値では
想像を絶するものであるのは間違いありません。
その中で、人材としての質レベルはと言うと、
「本当に骨太な学生はいったいどこにいるのだろう」という感覚をほとんどの
企業でお持ちではないでしょうか?
しかも、全体の35%が3年未満で退職してしまう。昨今の採用激化の結果、
企業と学生のミスマッチが招いているという理由でクローズアップされている
この数値は、今に始まったことではなく10年強このくらいで推移しているのです。
なんとも世知辛いですよね。
では、事業実現のための新卒採用の力点をどこにシフトすればよいのか?
「戦略的な採用活動こそが定着率をあげると時間を費やしたが、
そもそも人材の質レベルが変化してきている。
要するに、仕事に対する免疫が昔に比べて低いんだよ。
教育で力をつけるしかない。相談に乗ってくれ」
という類の話も増えています。
●新卒採用が成果を生む理由
それでは、若年層に教育を施せば問題の本質は解決するのか?
というと、そんなに甘いものではありません。
もちろん、何も成さないよりは何かアクションを起こしたほうがいいことは多いでしょうが、
私の伝えたいのは、「本質は繋がっていて、何を本質と捉えるのかが肝だ」
ということなのです。
上記のような苦しい状況下にありながらも、それでも企業は新卒採用をします。
それは「新卒採用を真剣に取り組み始めてから"当社は確実にいい方へ変わった"」
と感じている企業が多いからに他なりません。
なぜでしょう?
第1に"新卒採用は企業側の採用活動への覚悟が違うこと"があげられます。
それは2つの側面から言えると思います。
1つ目は事業存続の意思の側面です。
新卒採用は将来を見据えた事業への覚悟がなければできません。
絶対に会社を潰さない、お客様に価値提供をし、会社を存続し続ける、という
未来への意思表明でもあるのです。
2つ目は、人材に対して向き合う覚悟です。
それは、教育に手間もコストもかかりリスクがあるということではありません。
新卒であるが故、入社を決めてくれた彼らに対しての責任が大変大きいのです。
当然ですが新卒は、まだ自身で仕事をしたことがありません。
やったこともないのに、たった22年かそこらの経験のみで、今流行りの「自分の
やりたいこと=志向・指向はなんだろう」と問われても、本当は多くの学生は
測ることすらできません。
その中で決断し、たったひとつの企業に入社するのです。
新卒ではポテンシャルでしか判断されなかったエンプロイアビリティーも
中途採用となれば違います。
仕事観の醸成は、新卒で受け入れられた企業に良くも悪くも一番影響されるのです。
受け入れた企業の責任は大きいはずです。
●新卒採用のメリット
企業が新卒採用に取り組む上記以外の理由は、新卒採用のメリットとして整理しましょう。
当然ながら彼らが社会に始めて出るからこそのメリットとなります。
1.自社の企業理念や考え方を身につけるのが早い
早さ...吸収力の早さ、浸透の早さから見ると、
即戦力と判断し採用した中途採用人材よりも短時間で戦力になる場合も往々にして見られる。
理念浸透...理念浸透型組織、ひいては理念型経営に寄与する。
これは事業的なメリットが大変大きい。
(逆の発想ですが、新卒採用を素材として自社の企業理念を再度考えて
作ったり判断基準や方針を浸透させたり、組織運営のヒントにしたりし、
一層の団結力や風土や企業力形成に寄与させている会社もあります。)
2.職場を活性化させる
既存社員が当たり前だと思っていたことに疑問を持ち尋ねてくる。
このことで職場が活性化し、既存社員が今一度自社の判断基準に立ち返り、
教えることで、既存社員も一緒に育っていく。
また、人材への向き合い方や育てるとはどういうことかといった文化継承ができる。
3.新しい発想や価値提供するための活動ができる
日々の業務の責任や目標(狭義での)が組織上小さいために、
ひたむきに純粋に顧客やマーケットを思って行動してくれる。
その結果、新しい事業やサービスが創造できる。
新規事業組織の実働部隊が新人ばかりなのに成果を出している例は多々あります。
4.一度に労働市場に出てくるので企業側としては効率よく自社の事業の
特徴やらしさを伝えられます。
飾ってあるだけの企業理念や、頭で描いているだけの
事業優位性では企業経営が成立しません。
自社の事業活動の本質を理解してくれている人たちが
情熱を込めて運営して始めて、事業が実現するのです。
先日、OBT代表の及川とある企業に同行した際に、
「自社の社員同士、自社と取引先の関係性が、"健全で強固な帰属意識"で
結ばれている会社が伸びる。その関係性は損得や、契約関係ではないものだ。」
と伝えておりました。
そのような帰属意識で結ばれた関係性は、まさに採用活動から始まっていると思います。
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