OBT 人財マガジン

2007.10.10 : VOL32 UPDATED

人が育つを考察する

  • 「マナー研修」「CS研修」とは?

    いろいろな企業や、店舗の経営者から研修のご依頼をいただく際、
    「いやー、今まで何も手をつけずに来てしまったところ、新人がなかなか
    育たなくて、クレームも目立つようになって来ましてね・・・」という事から、
    それならば、「マナー研修」「CS研修」をしようと考えたというお話を伺います。

    -マナーは育ちや環境・個人の問題??-

    そこで、まず担当の方から更に詳しくお話を伺うと、よく耳にする言葉は
    「マナーといっても、育ちですよね!」「最近の人はねえー」と言った内容...。

    「育ち...?」 待ってください!
    子供ではないのですから「親が与えた環境や躾」だけが問題でしょうか?
    社会に出てから、その企業が与えた環境や教育を問題として考えるべき
    では??

    企業として「人を育てる」という事に何か改善が必要と考えることが大切
    ではないでしょうか?

    「今年の新人はマナーができていない。」「最近の店舗スタッフのお客様への
    態度がなっていないから、クレームが起きる。」と個人の問題にして、
    その人に研修を受けてもらえば、問題解決と考えるのは間違いです。

    企業のあるべき姿を取り戻す為に、マナーやCSを重視しようとお考えで
    あれば、個人の問題としてしまうのではなく、会社全体として根本的な問題に
    取り組む姿勢が求められます。

    -現場との乖離-

    私は、担当の方の話をお聞きした後、必ずその現場で活躍している方に、
    仕事の内容や、そこで起きている問題を挙げていただくインタビューの時間を
    作っていただきます。
    この中で、担当側(本社・本部側)と現場の様々な点での温度差がだいたい
    見えてきます。

    先日、あるメーカーの一部門からの依頼で、研修を担当することがありましたが、この会社でもやはり担当側と現場側に温度差がありました。
    そこで、管理職の方にもオブザーバーとして参加していただき、タイミングを
    見計らって、受講者と共に研修に参加していただきました。
    セッションごとに、部下から上司へ、よかった点、そして改善が必要と感じた点、
    今度は、上司から部下へ・・・とコメントを出し合います。

    こうしているうちに、今までは、大きな壁があった研修会場全体が一つになって
    目的に取り組みだしたのです。

    部下は上司に気働きを見せ始め、始めは座ったまま、動こうともしなかった
    入社まもない男性が事あるごとに周りの為に動き始めたのです。
    これは、マナー、相手を思いやることがわかり始めた証拠です。
     
    こうして、お互いに気遣い・気働きを表し、それを認め合う。

    このような環境こそマナーやCSに取り組むには必要なのではないでしょうか?
    日ごろの環境の中に、相手への気遣い・気働きが無いのに、なぜ、お客様や
    外部の方々にそういった事ができるでしょうか?

    -形ではなく「心」-

    まずは、問題のある環境を整える事。それが企業の成長、そして、人材育成に
    欠かせないと思います。
    形をマニュアルどおりに指導するのではなく、「心」の部分に「気づく」事から始め、
    気づいたら、その後はどのような事が「気遣い」「気働き」なのか...。
    どうやってそれを表現したらよいのかを学んで行きます。
    形だけでは、相手は満足しません。
    そこに「心」が添えられていることが必要なのです。

    OBT協会 鈴木美貴子