OBT 人財マガジン
2007.05.16 : VOL22 UPDATED
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予算化された人件費管理で業績連動型へ③
企業にとって、中長期的な経営目標や具体的な計画が、結果として実現できるような人件費の支払能力が維持される方法とは、何か?
そこで重要になるのが、人件費を"変動費化する"という発想である。
これは、人件費も他の費用と同じように、売上高や仕事の繁閑に合わせて変動させ、その時々の企業状態に合った適正な人件費を確保するという考え方である。
人件費の変動費化に関しては、次の3通りが考えられる。
①パート・アルバイト・派遣社員の活用
②アウトソーシング(生産の外部委託=ファブレス、業務の専門業者への委託)
③業績連動型賞与など成果配分型の給与システムの導入
例えば、企業の立ち上げ段階では、各業務に正社員1人分のロットがあるとは限らないので、そうした場合には、アルバイトと専門業者の組み合わせで対応し、必要に応じ正社員に切り替えていく。
また、アウトソーシングの導入により、業務ごと外に出すことも検討する。
また、賞与については、これまでのような「基本給の何か月分」といった決め方ではなく、利益が出た場合に業績貢献度に応じて支給する。
労働分配率という経営指標は、付加価値に占める人件費の割合を表したものである。
この数式の逆数を「人的生産性」と呼んでいる。
簡単に言えば「給料の何倍稼いでいるか」を表す数字である。
優秀な企業ではこれが3以上になる。
しかし、この数字が2を下回ってしまった企業が多いのが実態である。(つまり労働分配率が50%以上ということ)
実はこの人的生産性の改善目標を立てることが、経営成果と人件費のバランスを取るための第一歩なのである。
目標とする人的生産性が決まれば、それを元に許容人件費が算出できる。
すなわち、目標付加価値÷目標人的生産性=許容人件費となる。
ここで、
許容人件費<実際人件費
となる場合には、人件費圧縮策か、付加価値増加策か、或いはその両方か、をよく検討し実施する必要がある。
いずれにせよ、人件費の変動費化とは、付加価値の一定基準内に人件費を適切にコントロールすることである。
人件費のコントロールということを考えた場合、一番手が付けやすいのが賞与である。
月々の賃金をドラスティックに変動させることの可否や、労働基準法の不利益変更との関係からも、慎重を要する。
賞与については、あくまで会社業績によってその配分を検討する、としておけば比較的変動させ易く、また社員の納得も得やすい。
賞与原資総額は、次の計算式で求める。
(対象期間内実績付加価値÷目標人的生産性)-対象期間内既払い人件費
こうすることによって、人件費が許容範囲を超えることを防ぐことができる。
On the Business Training 協会 栗田 猛
*続きは後編でどうぞ。
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