OBT 人財マガジン

2006.11.15 : VOL11 UPDATED

人が育つを考察する

  • 「女性の在り方」「自分の生き方」を考える。

    「女性が今よりももっと活躍できる環境を実現するため」に具体的な取り組みをしている企業で実施された、ワークショップのご紹介です。

    このワークショップの最終目的は、『女性が活躍できる風土の醸成』。
    そのための施策の1つとして、「我が社オリジナルの女性の意識改革プログラム」を作り、それを「自分たちの手で社内で展開」するための、「社内トレーナーの養成」の実施をしました。
    単なる「意識改革プログラムの内製化」ではなく、この施策を通して、我が社の女性が今よりももっと活躍するための変革案の提案などを行っていきます。

    ■第1回ワークショップ
    「我が社オリジナルの女性の意識改革プログラム」の体験
    社内トレーナーとして活躍していただく女性の方々に、プログラムを実際に体験していただきました。一日のプログラムは大まかに下記のようにステップになっています。

      1)自分の価値基準を知る = どのようなことに意味や価値を感じるのか
      2)自分の思いを知る   = 自分は何をしたいのか、どのような自分でいたいのか
      3)能力やスキルを知る  = 何が得意で、何が不得意なのか
        
    オリエンテーションでは、 女性トレーナーが、自分自身の体験・経験を含めた自己紹介とあわせて、「生きがいややりがいを持って、仕事に取り組める状態を作るために必要なこと」「なぜこのようなことを考える必要があるのか」を参加者に伝えます

    1)自分はどのような時に遣り甲斐を感じるのか。仕事は自分にとってどういう意味や価値を持っているのかの探求のため、DVDを用いました。DVDの登場人物を通して、自分の求めている生き方や仕事の仕方を振り返ること、引いては自分のものの見方を振り返ることが本セッションの目的です。ちなみにDVDの登場人物は、生き生きと仕事をしている女性7人。「自分たちとは住む世界が違う」女性達ではなく、そして「環境も自分たちと大きく変わらない」そんな中で生き生きと働く女性たち。その実在する女性7名の生き方、仕事の仕方・考え方との対比の中で自分のそれらを考えます。

    このセッションを見ながら、私も含め、日々の中で自分の「仕事観」「人生観」「会社観」についてじっくり考える機会を持たずにいる方が多いということを改めて感じました。

    2)インタビューの形をとり、「自分は何をしたいのか」「どのような自分でいたいのか」など、言ってみれば"自分の目的"をじっくり考えます。その"目的"によって日々のやることが変わる。目的なく生きることにより、生じるリスクもあるということをこのセッションで伝えていきます。

    このプログラムの完成に向けてトライアルを行った際、私自身もこのセッションを実体験し、自分の中に隠れていた思いや価値観を発見しました。「何がしたいのか」は以前からいつも考えていたと思っていましたが、今思い返すと「自分には何ができるだろうか」という観点でその先の道を考えていたように思います。

    3)このステップでは、職場のメンバーから事前にアンケートをとり、それを題材に個人ワーク、意見交換をもとに、「自分が既に持っている能力、持っていないもの。向き不向き」を明らかにしていきます。

    以上が、第1回のプログラム内容ですが、DVDを見て「あの人たちは特別」...という意見を持つ人もいます。でも、DVDに登場するのは一般の女性。「何が特別なのか」「特別と感じる自分のものの見方はどうなんだろう」と自分自身に問いかけることが大切です。同じ状態でもHAPPYと感じる人もいれば、UNHAPPYと感じる人もいる。楽しむ人もいれば、文句を言う人もいる。同じ上司でも、チャンスと捕らえる人、やらされていると捉える人もいる。
    要は、ものの見方しだいで、感じ方は大きく変わり、仕事の仕方も大きく変わっていく。そのことに、まずは「気付く」ことから、意識の変革は始まるのでないでしょうか。

    『社内トレーナー』となる社員の方々も1人の女性。DVDやインタビュー、アンケートなど体験型・参加型のプログラムを通して、まずは自分がどんな感想を持つのか、何を感じるのか、素の気持ちで体験し、「自分自身の価値観」や「生き生き働くために」など、自分自身と向き合う一日となりました。

    ワークショップを通して感じたことは、誰もが心のどこかで、仕事・結婚・出産・家族など、人生や今後の生き方を考え、不安や期待を抱えながら日々の生活を過ごしているということ。それらの漠然とした思いを明確にし、自分自身について棚卸しをすることが、「自分にとって価値のある生き方」を見つける、大きな一歩になると思いました。
                                     
                                        OBT協会 伊藤みづほ