OBT 人財マガジン

2006.10.25 : VOL10 UPDATED

人が育つを考察する

  • 誰の手で、『女性の意識改革』を促すのか

    法の整備が進み、また環境の変化も女性の活躍を後押しする中で、本当に女性が生き生きと働ける社会、そして会社にしていくために何が必要なのだろう?

    以前、働く女性の分科会に参加し「仕事をする上での悩み」を話し合った際、
      ・やりたいことが見つからない
      ・社内にモデルケースとなる人がいない
      ・仕事がマンネリ化して遣り甲斐が感じられない
      ・仕事と家庭の両立が難しい
      ・男性に比べてキャリアの選択肢が少ない
      ・出産・育児に関する制度はあるが利用しづらい
      ・いろいろあるけど、楽しいし遣り甲斐もある
      ・仕事は遣り甲斐があり頑張りたいが、家族の理解が得られにくい
    など、様々な意見が出てきました。

    会社や年齢、役職や未婚・既婚など違いはありますが、同じ女性としてこの意見の違いは何だろう?同じ会社や職場にいながら、遣り甲斐が持てる人、持てていない人がいる。その違いは?生き生きと働きたいし、頑張りたい。でも、自分だけでは超えられない現実がある。どうすればいいの?など、活発な議論が行われたのですが明快な答えが出せないまま、「明日から頑張るぞ!」との掛け声で時間切れとなってしまいました。

    女性の能力発揮に積極的に取り組む中で、このような場面に遭遇されたことはないでしょうか。

    女性が生きがい、遣り甲斐を持って生き生きと仕事に取り組める状態にするために、そして成果を上げていくためには、

     ①企業としてのインフラ:女性が十分力を発揮できるための仕組みや制度
     ②企業や組織としての風土:女性の位置づけ、女性に対する認識の仕方
     ③上司のマネジメント:男女の格差をつけない女性を有効な戦力とみなす
       上司のマネジメント観の変革
     ④女性の意識(自分の在り様):仕事や生き方に対する欲や思い、意識、能力

    これらのどれかでなく、全てに取り組んでいくことが重要ではないでしょうか。

    働きやすいインフラの整備はできた。でも、これだけでは女性が活躍できる、生き生きと働ける会社にはならない。

    「女性ワーキングプロジェクトチーム」を発足し、プロジェクト第1期では、各種制度や仕組みなどの整備に取り組んだプロジェクトのメンバーの次の取り組みテーマは、『女性の意識改革』でした。

    誰の手で、『女性の意識改革』を促すのか

    「女性の意識を変えたい」1日や3日で。
    そんな都合のいい講習や研修は残念ながらありません。

    仕事柄ということもあり、女性のセミナーや研修などに参加し刺激を受けることは多くあります。その刺激をモノにできる人はごく一部で、そういう人はきっと本や雑誌、どんな刺激をも変化の材料としていけるのでしょう。
    でも多くの人にとって、講習や研修、セミナーの刺激効果は短く、短い期間で元に戻っていく。

    『女性の意識改革』を外部の機関に託すのではなく、自分たちの手で。

    具体的には、我が社の女性社員にどういうメッセージを伝えたいのか、どういう意識を持ってほしいのかという所から『我が社オリジナルの女性の意識改革プログラム』を作り、『社内トレーナーの養成』をし、『自分たちの手によって女性社員に展開』していくことになりました。

    通常の業務を行いながら、自分たちが主体となって、『女性の意識改革』を進めていく。女性の意識改革が何故必要なのか?どうすれば女性の意識改革が図れるのだろう?などを主体的に考えて続ける。そのことにより、女性が生きがい、遣り甲斐を持って生き生きと仕事に取り組める土壌を作りあげていくことを目的としました。
                                   OBT協会 伊藤みづほ