OBT 人財マガジン
2006.08.08 : VOL5 UPDATED
-
【人財教育現場で思うこと】⑧
何故これまでの研修や教育の効果が上がらないのか!
講師やトレーナーの質が企業の経営課題や戦略と全くにマッチしてない。人財教育の実効を上げるために⑥
これまで、人財教育の実効性が上がらない要因として"1.人財像の定義が不明確"、"2.教育の内容や中身そのものの"問題、そして"3.まずは教育ありき"という考え方に大きな問題があることさらに、"4.教育施策や育成制度がビジネスモデルや経営戦略と全く連動していない"、"5.組織の規範や風土が新しい知識や情報を阻害"している問題について説明してきた。
今回は、
6.講師やトレーナー等の教育実施者のレベルの問題
講師やトレーナーといわれる人財教育に携わる人たちに"経営や戦略"といった実務に通じた人が非常に少ない、その証左として「経営戦略と人財開発の関係」を論じられるだけの人財が少ないというのも大きな特徴である。
経営がビジネスモデルで戦う時代になっているにも関わらず、"事業戦略と人財育成策の提唱"や"ビジネスモデルから人財マネジメント論を発想する"といった議論は教育現場ではほとんど聞かれない。
経営とは全く無関係の領域で管理者教育等で頻繁に行われている極めてミクロな組織論や人間関係論を中心とした教育がなされているのである。
これは"経営とは無関係に人財教育として正しい論理が存在する"という強いパラダイムがあるのであろう。従って、多くの研修というのは、講師が場を仕切り、受講者を特定の価値観、特定のポイントに落とし込むことをねらう。
そのポイントに落とし込むことをねらっているから講師はあくまでもそのポイントに落とし込むためのシナリオやマニュアルを用意している。受講者から異論が出るとまずは「そうですね」と言い、「だけど〇〇の場合はどうでしょうか?」といった一般論であくまでも自分達のマニュアルやシナリオを貫き落とす。
落としどころは一箇所なのだから、シナリオやマニュアルと違う方向に分岐してしまうと落とし込むポイントを失ってしまう。
これは、研修という場は、講師達が用意している一般論の材料の中に受講者を呼び込みそこで教えるので起こるのである。
このように、研修や教育の現場を担当講師の大方は、単なる"教育プログラムの中でいかに最適なオペレーションするか"、そして"いかにいいアンケートを書いてもらいリピートにつなげるか"等といった極めてレベルの低いところで終始しているのである。
このようなことが、現実のビジネスの世界の関係者から、人財教育や研修の位置づけを極めて低いものとしてしまっているといえる。
従って、これからは、「顧客企業の経営や戦略にそった人財教育」を行う必要があり、そのためには、「顧客企業の経営を論じられる」「顧客企業の戦略の是々非々に的確な意思表示が出来る」等といった能力やスキルが必須になるのではないだろうか。
そうして始めて、"自社の経営戦略にとって正しい人財育成や人財教育方式"の構築が可能となり、且つビジネスの世界の関係者からの関心も高まるのではないだろうか。
*続きはこちらにどうぞ。
【人財教育現場で思うこと】⑨
- 第五回【仕事を極めた人の成長プロセス-前編】
――食と向き合うことで見えてきた商業家としてしての道 - 「思い」をぶつけ、賛同者を得るプロセスがリーダーを育て、職場を変える
- トレーニングで"思い"は醸成できるのか?
- 第四回【仕事を極めた人の成長プロセス-後編】
教育とは、生徒の能力を引き出すこと - 第四回【仕事を極めた人の成長プロセス-前編】
"伝説の教師"の国語の授業 - 社会問題の真っ向から立ち向かう企業!
- ソーシャル・イノベーションから見る事業の在り方
- 第三回【仕事を極めた人の成長プロセス-後編】私は"たいたいばあさん"なんです
- 第三回【仕事を極めた人の成長プロセス-前編】
歌は歌詞を理解していないと上手く歌えない - ゆで蛙になる前に -かつての成功は未来永劫続かない-