OBT 人財マガジン
2012.07.25 : VOL144 UPDATED
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親と子の関係から見えるもの
今回日本レーザーの近藤社長にお話をお聞きして、一番驚いたことは
まだ、同社が日本電子と親子関係にあったころ、
『高収益を上げた年に、親会社に5割の配当をして、社員にも報いようと
10年ぶりに社員旅行に行ったら、「とんでもない」と始末書を書かされた。』
という言葉であった。
子会社に勤めた経験のない私にとっては、非常に驚いたことなのだが
それは一般的なことなのだろうか。
もちろん、全部が全部そういった企業ではないと思うが、会社は誰のものなのか
ということを改めて考えさせられた。
親会社、子会社の問題はよく耳にする。
その多くは子会社にとって不利な条件ばかりであるという話だ。
『親の言ったことは絶対。反発は許さない。進むべき道は親が決める。』
といった具合に親会社の力があまりにも強すぎると、そういった考えの下にいる
子会社は、常に親の顔色を伺い言われたことだけをこなすだけになってしまう。
また、どうせ言っても...という諦め感や疲弊感が強くなり、自ら考えることをしない
人財が多くなってしまうように思える。
そして、子会社の多くは、自動的に親会社から仕事が下りてくるため、
危機感が薄いことも多い。
多少、うるさいことを言われても、親がいれば安心という考え方が強いのだ。
然しながら、本当にその考え方でいいのだろうか。
日本経済が成長しているときは、それでよかったかもしれない。
しかし、今は成長しない時代であり、人口の減少からもわかるように
確実に需要が減っている。
親会社からの仕事がいつまでもあるわけではない。
その危機感を子会社がどれほど持っているか...。
また、親会社も子会社を便利に使うだけでは、一向に子会社のモチベーションは
上がらず、質の高いものは出来てこない。
それは、まさに実際(人間)の親子関係のようにも思える。
親が手を出し過ぎても子は育たず、甘えるだけである。
また、子どももいつもでも甘えられる親がいると思っていてはいけない。
つまり、今後は新しい親子関係が求められるのではないだろうか。
人財の育成や企業の競争力、人の子育ては時代によって、また人(環境)に
よって変化しそこに正解はない。
然しながら、少なくとも、企業は過去の成功体験的な考え方、やり方では、
成功しない時代である。
近藤社長は、我々は『進化した日本的経営をしている』とおっしゃっていた。
つまり、人も企業も現状に甘んじず、進化することが必要になってくるのだ。
OBT協会 菅原加良子
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