OBT 人財マガジン
2012.01.25 : VOL132 UPDATED
-
顧客満足と生産性向上の両立をするためには
先日、弊社のクライアントから、他業界の方のお話が聞きたいとの要望があり、浜松にある物流大手・ハマキョウレックスの創業者、大須賀正孝会長にゲストスピーカーとして、講演にきていただいた。テーマは"労働集約型産業でありながら、競合他社と比べ高い利益率の要因"について。※大須賀会長には、以前、この人に聞くにもご登場いただき「日々決算」や「日替わり班長」など様々な取り組みについてお話を伺っている。ハマキョウレックスは3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)と呼ばれる、顧客の物流を一括して請け負うアウトソーシングサービスの草分けとして業界をけん引。2003年には東証一部に上場し、競争激化がいわれる業界にあって毎年右肩上がりの成長を続けている。つまり、顧客の本当に必要としているサービスをいち早く捉え、その実現をやってのけたのである。しかし、それはハード部分だけで出来るものではなくその裏では、同時に現場で働く従業員の生産性向上を徹底的に追求したという。よく、顧客満足と生産性向上の両立は難しいと言われているが、顧客満足を追求したら、本当に生産性は下がるのだろうか?今回のお話を伺ったスーパーホテルも労働集約型産業だ。然しながら、宿泊客のチェックインに無人で対応できる『自動チェックイン機』などの独自のシステムの導入、また、顧客満足の為に行なっている『安全、清潔、ぐっすり眠れること』以外の不必要なものを全て削除によりコストを削減し、朝食付きで1泊4980円からという低料金を実現した。その結果、客室稼働率89%という驚異の業績を叩きだしているのである。もちろん、高級ホテルを望む人まで取り込もうというわけではない。しかし、顧客をセグメントし、ターゲットを絞り込み、的確にそのニーズに答えているのだ。ハマキョウレックスの様に、従業員が社内で一致団結し出来る生産性の向上もあれば、スーパーホテルの様に、選択と集中によって出来る生産性の向上もある。(※スーパーホテルも従業員全員でアイディアを出し合っている)要は、2社の例から分かるように、いままでの固定観念を捨て、現場で働く人々の考え方、そして顧客満足にとって本当に必要なことは何かを明確にすることで、顧客満足と生産性向上の両立は可能になるのではないだろうか。それには、まず社員一人ひとりに仕事に対する考え方、顧客満足とは何かを徹底的に理解させることが重要になる。もちろん、経営トップが一番理解していることが前提にあるが・・・。
コメントする