OBT 人財マガジン
2011.06.22 : VOL118 UPDATED
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忘れられた"利他のこころ"
メディアでは震災を機に、より一層日本の『平和ボケ』が問いただされています。経済大国で裕福な国といわれてきた日本。口を開いていれば、親鳥が餌を持ってきてくれる時代は疾うの昔に過ぎました。しかし、その体質はなかなか変わらず、まだ上から(誰かから)何かをしてもらう待ちの体質は染み付いているように思います。今回お話を伺った日本理化学工業の大山会長もインタビューの中で、『今の若い人は幸せが来るのを待っているようなところがありますね。そうではなく、自ら動かなくてはダメだ』とおっしゃっていました。現在、何のために仕事をするかわからない、働く意味がわからない。また、それすら考えていないという人財が企業には殊の外多い。しかし、それは、自らの仕事の本当の意味を理解出来ていないからなのではないでしょうか。『ただ、上から単に与えられた仕事だから...』と。自身の仕事は会社内で何故必要なのか。そして、我が社は何を顧客に提供するのか。しいては、提供することによって顧客に価値をもたらすことが出来るのかを考えていない人財達...。人の「究極の幸せ」は「人のために働くこと」と語ってくださった大山会長。日本理化学工業では、障害者の方々に、常に「ありがとう。助かったよ」と言葉を掛けるそうです。"自分は人の役に立てている"と感じた障害者の方々は、お昼のチャイムも就業のチャイムも気付かず、夢中に働くそうです。人のために、自ら率先して真剣に取り組む。この思いを、日本は元々は持っていたはずなのに裕福さと引換に、少し失ってしまっていたのかもしれません。今、本や雑誌でも取り上げられる"利他のこころ"。この思いが企業の人財ひとりひとりにあれば、企業は、また、最終的には日本が大きく変われるかもしれません。しかし、その前に政治家達、組織の上に立つリーダー達すべてに"利他のこころ"を取り戻していただきたいと願わずには要られない。
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