OBT 人財マガジン

2010.06.09 : VOL93 UPDATED

編集後記

  • 長寿企業出現率1位は京都

    よく一口に「1000年の都」というのが、本当に1000年の間にひとつの国の
    首都であったと思われる都市は、実は世界にも4つしかない。


    ローマ、バリ、イスタンブール、そして、京都である。北京がこれに入るためには
    あと200年かかる。ワシントンなら後800年もかかる。長期にわたって都という
    地位を維持し続けることの凄さ、偉大さが改めて理解できる。


    帝国データバンクによると長寿企業出現率(データの各都道府県別企業数に
    占める長寿企業の割合)1位は京都府、2位は島根県、3位は新潟県となっている。


    京都は平安時遷都以来、西陣織、京焼、友禅染など高い技術をもった
    専門職人で「ものづくり都市」が形成されるようになった。
    伝統の技法は、付加価値の向上のため職人達が工夫を重ね、さらに良いもの作る
    という善い循環がされている。


    また、京都には長寿企業だけではなくワコール、任天堂、など世界的に有名な
    企業も多い。
    京セラは伝統産業である「清水焼」の土の配合技術を活かし高度なセラミック磁器
    を作りだした。そのほか、京仏壇の加工技術が活かされている島津製作所
    などもある。伝統産業で培った技術力を武器に、特定分野において国内や世界で
    トップシェアの企業もある。


    こうした、職人文化が新旧関わらず京都の企業を支えて来ている。
    その背景には"伝統"とひとえに言っても、やはり地域で助け合い、
    互いに協力していく文化が不可欠となる。


    今回お話をお伺いした株式会社永楽屋の細辻社長も職人さん、また人との
    関わりをとても大切にされてきたそうです。


    技術向上、さらには伝統技術を利用した革新。しかし、その裏でやはり
    必要になるのは、共に技術を磨きあう仲間、また、力をかしてくれる企業の存在。
    時代の流れにより現在失われつつある「職人気質」が京都に長寿企業を
    もたらす一つの理由なのではないだろうか。

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