OBT 人財マガジン
2009.12.09 : VOL81 UPDATED
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"らしさ"は簡単には手に入らない
今回の「この人に聞く」、ワタミ株式会社 桑原 豊社長のインタビューを通じて学んだことです。
社員の自主性を尊重し、現場に裁量権を与えるのが「ワタミらしさ」‐
しかしそれは、全てを現場に委ねるという事ではありません。
「大切なのは何についての"裁量"を与えるか、ということ」と桑原社長は語ります。
「お客さまと働く仲間を大切にする」ことについて、
店長が最大限注力できるよう、業務改革(意識改革)を推し進めた同社。
しかし、大方の企業においては「うちにはうちのやり方があるので...」
という前提のもと、今までの実績や成功体験をベースに
"うちらしさ"から抜け出せない状況が多い様に感じます。
今回取材したワタミ株式会社も当初は例外ではありませんでした。
店舗運営の標準化の導入に際して、社内から反対の声が上がり、
集中仕込みセンター「手作り厨房」の開設に至っては、全員から反対されたと、
桑原社長は語ります。
しかし、"現状の居心地の良さ"を守るのではなく、
"ワタミが実現したいこと(目的)"に向けて妥協しない強い信念のもと、
結果的には皆が賛同者となり、将来にむけて着実な進歩を遂げています。
これは個人の在り様にも同様の事が問われているように思います。
市況が悪化し自社の将来方向が見いだせないまま、
場合によっては統合や再編によって、多くの企業人が「働き方」や「生き方」を
見つめなおす岐路に立たされています。
しかし、このようなときこそ、会社や上位者のみに矛先を向けるのではなく
"自分は何を実現したいのか"という本来の目的に根差して、
"どうしたら実現できるか"という信念を持って、変えるべき点は変えていく事で、
今まで見えてこなかった未来が、自分なりに見えてくるのではないでしょうか。
その努力なくして、いくら「自分らしさを守りたい」と唱えていても、
誰も見向きもしてくれません。
居心地のいい状況を捨てることなく、現状に甘えていては、
自分"らしさ"は成立しないし、守れない。
取材を通じて、私はこのような事を痛感しました。
次回の、この人に聞く(後編)では、
桑原社長の仕事観やワタミの理念共有の取り組みについて、お伝えします。
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