OBT 人財マガジン

2009.09.24 : VOL76 UPDATED

編集後記

  • 繁盛の秘訣


    先日、ある人気ラーメン店の店主に話を伺う機会があった。
    オープンから今年で10年。多い時には一度に100人もの行列ができるそうだ。
    現在も客足は右肩上がりで伸び続けていると聞き、驚いた。


    「流行には終わりがある。人真似をしていたのではいつか飽きられてしまう」。
    どこかで食べたような味が氾濫するなか、"自分だけのラーメン"を提供したい
    と開店当初から独自の味を貫いている。


    味だけでなく、サービスの良さにも定評がある同店。
    行列の中にベビーカーを引く人がいれば、スペースのある席へさりげなく誘導する。
    荷物の置き場所に困っている人がいれば、空いている椅子を持ち、声をかける。 
    子連れ客には、小さな器がいくつ必要かを確認する。
    相手に合わせたサービスを、どの店員も実にスマートにやってのける。
    マニュアルは、ない。
    スタッフには「何をしたら喜んでくれるか、相手の顔を見て考えなさい」と教育している。


    誰にも真似できない自分だけの味、誰の真似でもない心からのサービス。
    一見当たり前とも思える2つのこだわりが、オープンから10年経ったいまも、店の人気を支え続けている。


    ユニ・チャーム株式会社の秋田氏はこのような言葉で話を括っていた。

    ――他社との差別化は、自社の強みになる、と。


    競合があふれる時代。
    消費者に自社の製品・自社のサービスを選んでもらうには"そこでしか手に入らない"、"良質な"製品やサービスを提供すること。
    これに尽きるのではないだろうか。
    他社との差別化ができれば、ブランドとしての価値は一層上がるというものだ。


    繁盛のからくりは意外と単純なものなのかもしれない。


    ただ、この「単純」を繰り返し、継続できるかどうか。
    この蓄積の結果が差別化となり、強さを生み出していくのだろう。

コメントする