OBT 人財マガジン
2011.12.21 : VOL130 UPDATED
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チャンスをモノに出来る人
今回、"現場ドキュメント"にご登場いただいたビッグイシュー様が発行している雑誌「BIG ISSUE」の表紙には、大きく300円と書かれた価格の横に「300円のうち、160円が販売者の収入になります。」という記載があります。「BIG ISSUE」を初めて購入した時、販売者の方の収入の方が多いというこの仕組みにとても共感しました。元々、内容が面白く読みたい記事が多いので、品川駅をよく使う私は、高輪Wingの販売者の方からいつも購入しています。先日、発売日だったので立ち寄ろうとしたところ、ちょうど、別のお客さんが購入していました。販売者の方はその後、そのお客さんが見えなくなるまで、おじぎをして、見送っていました。この方の体全体からは「いつも、ありがとうございます」という気持ちがひしひしと伝わってきます。また、有楽町の販売者の方は、いつ見ても「BIG ISSUE」を持った手を真っ直ぐ上にあげ、ピンっと背筋を伸ばし姿勢を崩すこと無く、立っています。こういった一生懸命な姿を見るたびに、私は、こういう気持ちを忘れてはいないだろうか、私の背中は、気持ちは下を向いていないか・・・など、気づかされることや元気をもらうことが多くあります。ビッグイシューの佐野さんにお話を伺うと、販売者さんの中には伝説の販売さんもいらっしゃるといいます。目立つ・目立たない、人通りが多い・少ない等、場所に限らず、どこで販売しても売上を上げるそうです。過去にいた伝説の販売者さんは、10万部売ったら辞めるとの言葉の通り、今年の夏、5年目にして目標部数を達成し、貯めたお金で、これから清掃会社を始めたいといっているそうです。驚くべきことが、現在70歳という年齢。路上生活から起業を果たすまで、ビッグイシューの仕組みがなかったら出来なかったこと、そして、ただ、立っていれば売れるというわけではなく、本人の頑張りがなければ成し得ないことだと思います。佐野さんもこのような例は稀とおっしゃりますが、こうした、チャンスを作る機会をホームレスの方に提供しているビッグイシューの仕組みは素晴らいいものだと思います。また、どんなに小さなチャンスでも活かせる人がいるといことを改めて感じました。