OBT 人財マガジン
2011.02.09 : VOL109 UPDATED
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言霊に宿る"魂"とは何か
"言霊"については、これまでも思うことを何度か書いたと記憶する。良いことばを
口にするとよいことが起き、悪いことばを口にするとそのとおりになる――古くから、
日本では、ことばには魂が宿るといわれてきた。これまで、"言霊"と聞くと、なにか
スピリチュアルなものを想像していたのだが、最近になって、それだけではないのかも、
と思うようになった。
たとえば、前向きな言葉は幸せを招くというが、「ありがとう」ということばを自然と口にできる人はどんな人だろうか。まわりに対して感謝の念を持ち、それを素直に表現できる人に
違いない。普段から謙虚な姿勢で周囲に気遣いを見せる人が、この人がなにか困った様子
でいれば、今度は自分がその人のために協力をしてあげたいと思うのが人の常である。
逆もまた然りであろう。最近はサッカーのアジアカップで日本中を大いにわかせたが、目標に
向かって全力で頑張っている姿は人を感動させる。頑張ってほしいと、応援したくなるものだ。
ことばに宿る魂があるとすれば、それは、ことばそのものが持つ力ではなく、そのことばを発した者の魂なのではないだろうか。「ありがとう」という感謝の気持ち、「頑張ろう」という
気合い――"意識"を強く持ち、"行動"という形で示すことで、はじめて、別の誰かの気持ちを
突き動かすことができるのである。前向きなことばとは、善循環の一部。それが結果的に、
成功へとつながっていく。
少し前に「レコーディングダイエット」というものが話題を集めた。「食事や間食の内容を毎日記録するだけでダイエットに成功する!」というまるで夢のような減量方法なのでだが
、からくりは、「記録をすることで摂取カロリーを自覚し、食生活の見直しを促す」というところに
あるらしい。魔法のダイエットではなく、つまりは"意識"の改革なのだ。
「食事内容を記録する"だけ"」でダイエットがうまくいくはずがないように、「よいことばを口に
する"だけ"」で物事がうまくいくほど、世の中甘くはないのである。
まずは、強い"意識"――魂を持ち、本気で行動に移すところから始めてみたい。