OBT 人財マガジン
2010.12.08 : VOL105 UPDATED
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人を育てる"土"を見直す
就職活動中と思しき学生の姿を多く見かける時期になった。長引く不況により、就職氷河期と呼ばれる時代が続いているが、学生の危機感は以前にも増して強まっているようだ。ある採用コンサルティング会社の調査によると、内定を獲得した学生一人あたりの平均エントリー企業数は、実に90社にものぼるというから驚いた。それだけエントリーしても、内定社数の平均はわずか1.1社。就職難と言われてはいるが、これほどまでとは。会社説明会や就職ガイダンスは立ち見が出ると聞き、「まさか」とは思っていたが、この数字を知って、昨今の厳しい実情を痛感した。特に、これは昔から変わらないことではあるが、文系出身の女子学生の就職活動は輪をかけて大変なのだという。自身が就職活動をしていた10年ほど前は、表向きには募集を出しているにも関わらず、面接会場に足を運ぶとあからさまに「女子はいらない」といった言動をとる企業も中にはあったが、いまはどうなのだろう。経済産業省が行ったある調査によると、「女性比率の高い企業は利益率が高い」ということがわかったという。と言っても女性の比率を上げれば利益率が上がる、という単純なものではなく、本当の要因は「女性が活躍できるような風土」にあるのだそうだ。調査によると、性別にこだわらず均等施策を行う企業は女性比率も高く、経営パフォーマンスもよいという結果が出ており、実力のある者を正当に評価する風土が従業員の能力を上手に伸ばしていくことに繋がる。いい土壌からはたくさんの収穫物が獲れるのと同じように、風土を改善するということは優秀な人財を育て、業績を伸ばしていくことと等しいに違いない。