OBT 人財マガジン
2010.02.10 : VOL85 UPDATED
-
売れない時代に「売る」極意
「西武 有楽町店」が今年の12月をもって閉店する。
京都の繁華街・河原町にある商業施設「河原町ビブレ」や「阪急」も今年に入り、相次いで閉店を発表した。
2009年の全国の百貨店売上高は、13年連続でマイナスを記録。
特に高額商品ほど売り上げの落ち込みは激しいといい、
ファーストリテイリングが発売した「990円ジーンズ」を追随するように、
イオンや西友が激安ジーンズの販売に乗り出したことからも、
消費者の関心が、いかに低価格商品に向いているかということが伺える。今では、ディスカウントショップ・ドンキホーテが690円ジーンズを扱うまでになった。
大手量販店の多くが衣料品や食品などのプライベートブランドを立ち上げ、各方面で価格戦争を繰り広げている。
低価格志向の波が押し寄せているのは外食産業も例外ではなく、最近では
250円や300円均一を謳った激安居酒屋の看板も目立つようになった。
出される料理も、「レンジでチン」といったいかにもレトルトの風ではなく、本格的な四川料理や真鯛のかぶと煮といった手の込んだ内容だから恐れ入る。
先日、遅ればせながら「幸楽苑」デビューを果たしたのだが、午前中だというのに店内は客でいっぱい。
そして、290円という価格のインパクトを上回るクオリティの高さに、二度驚かされた。安い物に人は集まる。
が、安いだけでは「売れない」時代。
低価格で高品質――これこそが、物が売れない時代に、消費者を引き付けるキーワードなのだろう。
290円の中華そばに、現代におけるヒットの極意を見た気がした。